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31~40話
34a、私は口付けの先をわかっていない3 ※
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きっちりと水分を拭き取られると、いつもとは違い服は着せられずにタオルを巻かれたままベッドへと運ばれる。
「寒くはないか?」
「ふふっ、大丈夫ですよ」
私が幼い子供じゃないと知っても、やっぱりガルは過保護だ。
「ちょっと待っていろ」
ベッドに私を下ろしたガルは、腰にタオルを巻いただけの格好のまま一度寝室を出ると、鞘に収まった剣を片手に戻ってきた。
「これを持っていてくれ」
「……?」
仕事へ行く時にいつも腰に佩いているガル愛用の長剣だ。
手渡された剣を反射的に両手で受け取れば、重さでズンと手が沈んだ。
「もし俺が暴走してマヤの意に沿わないことをしそうになったら、これで刺してでも止めてくれ」
「……え?」
「マヤの力では、暴れても俺を止められないだろうからな」
「……」
神妙な様子のガルには申し訳ないが恐らく絶対出番は来ないので、そっとベッドサイドのできるだけ離れた場所に立てかけた。
ベッドに乗り上げたガルが、獲物を狙う肉食獣のようにじりじりとその距離を詰める。
「マヤ、後悔はないか?」
「ありません。それに私……きっとガル様になら、何をされても嬉しいと思います」
触れ合うだけで、声を聞くだけで、視線が交わるだけで嬉しいのだから。
「っ極力優しくする」
そう言うとガルは私をそっと抱き寄せ、頬に手を添えて額に一つ口付けた。
「寒くはないか?」
「ふふっ、大丈夫ですよ」
私が幼い子供じゃないと知っても、やっぱりガルは過保護だ。
「ちょっと待っていろ」
ベッドに私を下ろしたガルは、腰にタオルを巻いただけの格好のまま一度寝室を出ると、鞘に収まった剣を片手に戻ってきた。
「これを持っていてくれ」
「……?」
仕事へ行く時にいつも腰に佩いているガル愛用の長剣だ。
手渡された剣を反射的に両手で受け取れば、重さでズンと手が沈んだ。
「もし俺が暴走してマヤの意に沿わないことをしそうになったら、これで刺してでも止めてくれ」
「……え?」
「マヤの力では、暴れても俺を止められないだろうからな」
「……」
神妙な様子のガルには申し訳ないが恐らく絶対出番は来ないので、そっとベッドサイドのできるだけ離れた場所に立てかけた。
ベッドに乗り上げたガルが、獲物を狙う肉食獣のようにじりじりとその距離を詰める。
「マヤ、後悔はないか?」
「ありません。それに私……きっとガル様になら、何をされても嬉しいと思います」
触れ合うだけで、声を聞くだけで、視線が交わるだけで嬉しいのだから。
「っ極力優しくする」
そう言うとガルは私をそっと抱き寄せ、頬に手を添えて額に一つ口付けた。
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