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21~30話
30a、私は見学会の趣旨をわかっていない
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早起きしてパタパタと支度を済ませ、ガルに髪を結ってもらって時間ギリギリになりながら二人で慌てて登城する。
今日の髪型はツインテールだ。
前回来たのと同じ訓練場の周囲を囲むベンチの一角には、すでに見学者と思しき人達が集まっていた。
「マヤ、まずはここで訓練を見学するらしい。一旦離れることになるが、必ず目の届く場所にいるようにする。……一人で大丈夫か?」
離れるのは寂しいけれど、見える場所にいてくれるのなら心細さはない。
「はい、訓練頑張ってくださいね!」
「ああ、また後で迎えにくる」
ガルはそう言うとおでこに一つ口付けて、騎士達が集まる訓練場へと身を翻した。
きゃいきゃいと騒がしいベンチに座るのは、どこを見ても子供、子供、子供……を抱っこした母親もいるが。
言動の幼さからするに、ここにいる子供達は三歳から精々十歳くらいだろう。
何せ見た目からでは判断がつかないのだ。
大きい子はすでに私の身長よりも上背がある。さすが魔族。
「みなさ~ん、お利口さんに、静かに見学しましょうね~」
前に立った女性騎士が朗らかな声を上げる。
「「はーい!」」
子供達は元気よく返事をした。
それでもベンチは依然騒がしく、時折り「パパーっ!」と大きな声をあげて手を振る子もいる。
今日の髪型はツインテールだ。
前回来たのと同じ訓練場の周囲を囲むベンチの一角には、すでに見学者と思しき人達が集まっていた。
「マヤ、まずはここで訓練を見学するらしい。一旦離れることになるが、必ず目の届く場所にいるようにする。……一人で大丈夫か?」
離れるのは寂しいけれど、見える場所にいてくれるのなら心細さはない。
「はい、訓練頑張ってくださいね!」
「ああ、また後で迎えにくる」
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きゃいきゃいと騒がしいベンチに座るのは、どこを見ても子供、子供、子供……を抱っこした母親もいるが。
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何せ見た目からでは判断がつかないのだ。
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「みなさ~ん、お利口さんに、静かに見学しましょうね~」
前に立った女性騎士が朗らかな声を上げる。
「「はーい!」」
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それでもベンチは依然騒がしく、時折り「パパーっ!」と大きな声をあげて手を振る子もいる。
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