ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

２１～３０話

２５c、私は契約期限をわかっていない

信じた通り、ガルは記憶を辿るようにしながら一つ一つ質問に答えてくれた。

「そうだな……まず、この契約に期限はない。無期限だ」

「無期限……」

予想はしていたものの、やはり一生奴隷のままなのかと失望する頭の片隅で、微かに安堵した自分がいる。

「辞める条件はいくつかあったな。主人か奴隷のどちらかまたは双方が死んだ時、奴隷が自分の身分を主人から買い取った時、主人の意思で奴隷を解放した時、だったか」

ふむふむ。死ぬのは論外として、奴隷が自分から辞めるにはお金が必要で、主人側から辞めさせるのは自由と言う事か。
金額についても聞いておこうと口を開くより先に、ガルが言った。

「……マヤは、愛玩奴隷を辞めたいのか？」

「え……」

そんなのもちろん、誰も首輪の罰で管理され言動の自由もない奴隷でなんか、いたいわけがない。
是と、即答できるはずだ。

なのに肯定の言葉は喉に張り付いたまま、いつまで経っても出てこない。

「それ、は……」

だって、奴隷を……この関係を辞めてしまったら、もうガルの側にはいられなくなってしまう。

答えられずに唇を戦慄わななかせる私から、ガルがついと目を逸らした。

「いや、いい。言いづらいことを聞いてすまなかった」

その手は慰めるように優しく頭を撫でてくれる。
……でも、傷付いたような顔をしているのはガルの方だ。