ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

２１～３０話

２５e、私は契約期限をわかっていない

奴隷を辞めたい気持ちとガルの側にいたい気持ちが矛盾している事はわかっている。
それでも私は、初めて与えられた自分の居場所を守りたいと願わずにはいられない。

決して手放さないという約束さえくれるのであれば、いっそこのまま、一生奴隷でもかまわないとすら思うほどに。

「そう、か……」

それだけ言うとガルは私の願いを否定も肯定もせず、険しい表情で何か考え込んでしまった。

迷惑だったのだろうか。図々しいと呆れたのだろうか。不愉快な思いを……させて、しまっただろうか……。

「ガル様……」

「ああ、マヤ。辛い話をさせてすまなかった」

労わるような眼差しに、ふるふると首を振る。
慰めの言葉よりも、ガルの気持ちを聞かせてほしい。

私が一緒にいたいと願うことはガルにとって迷惑なこと？　不快なこと？　それとも……

ガルは私の頬に口付けを一つ落とし、そして告げた。

「明日は帰りが遅くなる。先に夕食を用意するよう伝えておこう」

「…………はい」

すっかり変わってしまった話題に、感じたのは深い落胆。

意を決して伝えた私の願いは、何事もなかったかのようにあっさりと流されてしまった。