ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

２１～３０話

２１e、私はこの街をわかっていない

繋がれた手を前に、じわじわと頬が熱を持つ。

四六時中抱きしめられ毎晩風呂まで一緒に入っておいて、私は今更何に照れていると言うのか。
自分で自分の反応が理解できない。

こんなこと、いつものスキンシップに比べればなんでもない。
そう自分に言い聞かせてみても、熱は引かない。

私は初めて異性と触れ合った初心うぶな少女のように、頬が紅潮するのを止めることができないでいた。


幸いなことに、かなり身長差のあるガルの視線の位置からでは俯いた私の顔色までは見えていないようだ。

「マヤ、他に行きたい店はあるか？」

いつもすぐ近くで聞いていた低音が遥か頭上から降ってくるのは不思議な感じがする。

「特になければ、次はマヤの服を買いに行こうと思うんだが」

「いえ！　服はすでに貰った分で十分です！」

ガルの問いかけに、私は慌てて顔を上げて答えた。
どうか顔の赤みは引いていますように！

服は今のところ毎日違う物を着せられているので、すでにかなりの枚数があるはずだ。
それにまたオーダーメイドなんてことになったら、どれほど高額になるかわかったものではない。

「しかし……」

「それよりも初めての場所なので、ぶらぶら歩いて色んなお店を見てみたいです」

「そうか。ではそうしよう」

ガルは一つ頷くと、私の手を引いてゆっくりと足を踏み出した。