ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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11~20話

11b、私はスキンシップをわかっていない

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 城の門を出たと思えば、一瞬でガルの屋敷の前だ。
 やっぱり景色が突然変わるのは慣れない。
 そして不意に出現する主人を悠然と待ち構えて出迎える執事はさすがの一言に尽きる。
 ……一日中ここで待機してたわけじゃないよね?


 部屋に帰ると、メイド長がティーセットを運び込んだ。

「すっかり昼を食べ損なってしまったな。じきに夕食だから、今は菓子で足りるか? 無理そうならすぐに食事の支度をさせるが」

 ガルは私をソファに据えると、制服の上衣を脱ぎシャツとスラックスだけの格好になった。

「大丈夫です。夕飯まで待てます」

 むしろ毎食お腹一杯まで食べてゴロゴロ過ごす奴隷生活(?)に太りそうだったので、食事を抜くくらいで丁度いい。

 紅茶を入れ終えたメイド長を下がらせると、ソファに座ったガルは当然のように私を腿の上に座らせ直した。
 隣に座るのではダメなのだろうか。
 鍛えていると、足も痺れなくなるのだろうか。


 ガルの大きな手が摘むと小さく見える焼き菓子も、私の一口にはいささか大きい。

「訓練はどうだった? 退屈しなかったか?」

 ひょいと放り込まれた菓子を、頬を膨らませながらむぐむぐと咀嚼する。

「んぐ、っはい! すごく楽しかったです!」

「そうか」

 心からの笑顔で答えると、一瞬驚いた様子を見せたガルが眩しそうに目を細める。
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