ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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1~10話

9a、私は移動手段をわかっていない

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 お出かけが楽しみで随分早く目が覚めてしまった。
 身動きしたら、寝ているガルを起こしてしまうだろうか。

 一日目は昼まで寝過ごしたし、二日目は起き出したガルの動きで目が覚めたので、こうしてガルの寝顔を見るのは初めてだ。

 起こしてしまわないようじっとしていないとと誰にともなく言い訳しつつ、私はここぞとばかりにガルの寝顔を観察した。

 さすがに寝てる時は怖い顔してないんだなぁ。
 ふふっ。険しい表情してないと、ちょっと幼く見えるかも。
 睫毛長いなぁ。あ、睫毛は髪と同じ黒なんだ。
 瞳の赤の印象が強くて何だか睫毛まで赤いような気がしてた。
 鼻も高い。こんなに高かったら下見る時に邪魔じゃないのかな?
 唇がちょっと薄めなのも男らしい顔付きによく似合ってるし。
 元の世界あっちに生まれてたらモデルとかやってたかも。
 あ、でもキャーキャー言われるの苦手なら他の―――

「……もういいか?」

「ひゎっ!?」

 ビックリした!
 一人考えを巡らす最中に寝ているはずのガルが話しかけてきて、心臓がひっくり返るほど驚いた。
 実際身体もビクッと数センチ跳ねた。

「すまん、驚かせるつもりはなかったんだが」

「……いつから起きてたんですか?」

「恐らくマヤが目を覚ました瞬間から。その、職業柄気配には敏感でな」

 なんてことだ。
 ガルの寝顔を観察していたのがばれている。

「寝たふりしてたんですか?」

 恥ずかしさからつい恨みがましい目を向けてしまうと、ガルは幾分気まずそうに答えた。

「いや、楽しそうに喋っていたものだから、邪魔しては悪いと思って……」

 と言うことは、全部声に出ていたのか。
 なんてこと。無理だ。恥ずか死ねる。
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