ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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1~10話

6c、私は寝ている間のことをわかっていない

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 薔薇エリアの中央に設置されたテーブルセットで一休みしていると、正門の方から申し訳なさそうな顔をした執事がやって来た。

 ガルほどではないが執事もかなり背が高い。思い返せば、食事を運んでくれたメイドもモデルのような長身だった。
 何を食べたらそんなに大きくなるんだろう。この家で同じ物を食べていたら私もモデル体型になれるだろうか。

「お寛ぎ中に申し訳ありません。騎士団から遣いの方がいらっしゃっておりますが、お通ししてよろしいでしょうか?」

「俺は休暇中だ、追い返せ」

 ガルはにべもなく告げると、腕の中の私に向き直った。

「そうだマヤ、紹介しておこう。これは執事のエンカムと言う。俺の留守にはマヤの世話をする事も―――」

「おーい、ガリュース! 客を無視してんじゃねぇよ!」

 執事の後方から声が上がる。
 いつの間に入ってきたのか、そこには黒い詰め襟の制服に身を包んだ、明るい茶髪の男性が立っていた。
 年の頃は二十代後半だろうか。ガルと同じくらいに見える。

 この人も大きい!
 ガルの家に来てから、会う人会う人みんな大きい。逆ガリバー状態だ。

「大声を出すな、マヤが怯える。それに俺はちゃんと休暇申請を出してある」

「あんなもん、今日の朝届け出ていきなり当日休みにできるわけねぇだろうが! ただでさえ公開訓練の準備でやる事が多いっつうのに……って、何だ? その膝の上のちんまいのは」

 マスタード色の瞳が私を捉える。
 ちんまいとはなんだ! これでも150センチは超えてるんだ!

「見るな。減る」

 不機嫌さを隠そうともしないガルが、視線から守るように私を抱きしめた。

「減るか! って、言い合いしてる暇はねぇの! 俺も忙しい仕事の合間を縫って来てんだ。時間が惜しい、さっさと準備しろ」

 ガルも口では文句を言っていたけれど、急な休暇申請が通らない可能性も分かっていたのだろう。私を抱えたまま、外出の準備のため重い足取りで部屋へ向かった。
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