ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

１１～２０話

１８d、ご主人様は熱の行き場をわかっていない ※

「マヤ、朝だぞ」

開け放たれたカーテンの間から朝陽差し込む部屋の中。
身支度を整えた俺は、ベッドに腰かけるとそっとマヤに声をかけた。

昨日たくさん動き回って疲れたせいだろう、ぐっすりと眠るマヤに起きる様子はない。

寝かせておいてやりたい気持ちもあるが、マヤがちゃんと食事を食べられたのか見届けないことには安心して仕事に集中できないのだ。

すぅすぅと寝息を立てる小さな鼻をチョンチョンと突つく。
くすぐったいのか、マヤは少し不機嫌そうに口を尖らせた。

まだ起きない。

突き出された愛らしい唇をふにふにと親指の腹で撫でる。
何の夢を見ているのだろうか、マヤがぱかりと薄く口を開けた。
開かれた唇の間に指を差し入れたくなる衝動をギリギリの理性で振り切り、唇から手を離す。

ふっくらとした頬を撫でれば、触れる手から逃れるためにもぞもぞと首を振りながら、ゆっくりと黒曜石の瞳が開かれた。

「んん……ガル様」

「マヤ、おはよう」

「おはようございます……」

ふわぁと欠伸あくびをする姿さえも愛らしい。

マヤをベッドから引き抜くと、俺は寝起きのぽかぽかと温ぬくもる体温を大切に胸に抱きしめながら、朝食へと向かうのだった。