ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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11~20話

17d、私は視線の行方をわかっていない

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私の身体を滑る泡だらけの手は骨張って大きく、そこから続く腕には血管が浮き出て、動かすたびに筋肉が盛り上がる。
厚い胸筋もガルの腕が動くのに合わせて形を変え、その下に続く腹筋にはくっきりと筋が入って……1、2、3、4、……8つだ。8つに割れてる。

すごい……。
私のツルンとした身体とは全然違って、ガルの身体はどこもかしこもゴツゴツと筋肉が起伏している。

そして、前面は背中側よりもさらに傷だらけだった。

ここにも傷が、ここにも、ここにも……あっ、そっちにも。

「マヤ……何をしてるんだ? その、くすぐったいんだが……」

戸惑った様子のガルが壁に向かって話しかけている。
気付けば、ガルの身体を見るのに夢中になった私はいつの間にか傷痕を指で辿っていたようだ。

「あ! 勝手に触ってごめんなさ」

「いや、触れるのはかまわない」

否定が早い。
会話はしてくれるし、触れるのもかまわないと言ってくれるのに。
それでもやっぱりガルはこちらを向かない。

視線の合わないガルの横顔を見つめていると、ふと元の世界に残してきた両親の姿が浮かんだ。





風呂を上がればいつものように背中の傷を手当てされ、包帯を巻かれる。

背中の傷は自分では見えないので治り具合がわからない。
さすがにもう包帯を巻く必要はないと思うのだが、ガルが未だに手当てしてくれるということは治りきってはいないのだろう。

肌触りのいい寝衣を着せられふかふかのベッドに潜り込めば、もう眠気は限界だ。
ガルの腕まくらの上で眠い目を瞬く。

「おやすみ、マヤ」

あ、目を見てくれた。

「おやすみなさい、ガル様……」

よかった。ガルはまだ私のことを見てくれる。


よかった……
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