ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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11~20話

16c、私はこの国をわかっていない

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 魔力が多いほど瞳の色が赤に近くなる?
 それならこの、燃え盛る炎のような瞳をしたガルは……

「ガリュースの魔力量は信じられないくらい多いよ」

 じっとガルの瞳を見つめると、大きな手の平が優しく髪を撫でてくれた。

「大抵の者はこの目を恐れる」

 そう言ったガルがどこか悲しそうに見えて、私も腕を伸ばし、そっとガルの頬を撫でた。

 こんなに綺麗なあかなのに。


「違いは……それだけ、ですか?」

「まあ性格や考え方などに多少違いもあるが、大きなものはそれくらいだな」

「その……ツノが出たり、人を食べたりは……?」

「? なんだそれは」

「マヤちゃん、それって悪魔か何かと混同してねえ? 確かに人族の中には魔族を悪魔の子孫だっつー連中もいるけどさー、眉唾もんだぜ? 魔族も人族もほとんど変わりはねえから」

「ほとんど変わりない……」

「ああ。それに例えどんな違いがあろうとも、決してマヤを傷つけることはしないと誓う」

 射抜くような真剣な眼差しに捉われる。
 そこに見えるのは、奴隷として買った私に対してさえ真摯に向き合おうとするガルの誠実さと優しさ。


 ……

 なんだ……

 なーんだ!

 なんのことはない。やっぱり、ガルはガルではないか。

 唐突にガルが人間ではないと聞かされたことで、今までが騙されていたような、寄せていた信頼が裏切られたかのような、覚束ない気持ちになってしまっていた。

 でも、変化して姿を偽っていたわけでもなければ、本性を隠し私を食らおうとしたわけでもない。
 元の世界でだって、国が変われば人種も変わるのだ。それらと何も変わりないではないか。

 私は何も、騙されてなんかいなかった。

 もちろんガル達の話が100%真実かはわからないけれど、ガルが魔族だったからといって今まで与えられた優しさが消えてなくなるわけでもない。

 むしろこの世界の人族は奴隷商人達としか関わっていないので、人族のイメージの方が悪いくらいだ。
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