ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁

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11~20話

16a、私はこの国をわかっていない

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「ガリュース! おっまえ、そんなことも説明してなかったのかよ!」

 ガルが口を開くより早く、成り行きを見守っていたフェンベックが口を挟んだ。

「どうせ何も説明しないままパパッと転移してつれて来たんだろ!」

「……そういう話をしたことはなかったな」

「可愛がってるっていうならちゃんと説明もしてやれよ! いきなり知らない国に来て知らない奴らに囲まれたら不安に感じるだろうが! 主人なら責任持って安心できる環境を整えてやるのが務めだろ!」

 フェンベックが何故そんなに親身になってくれるのかと不思議に思って見遣れば、チラチラとウルの方を気にしている。

「生態について学んで食事も寝床も快適に整えてやって寂しがらないよう愛情たっぷり注いで……」

 これは先輩飼い主としてのアドバイス……?



 フェンベックの熱弁がやんだ頃、ガルが静かに切り出した。

「……マヤ、不安な思いをさせてすまない。今さらだが、聞いてくれるか?」

 ガルは抱きしめる腕を緩めると、覗き込むように真っ直ぐに私の目を見つめてくる。
 私はその真摯な眼差しに一つ、頷きを返した。

「俺の名はガリュース=バドアという。訓練を見て知っているとは思うが、王立騎士団の第二部隊隊長を務めている」

 途中フェンベックが脱力したように「そっからかよ……」と呟くのが聞こえた。
 ガルのフルネームをガル本人の口から聞くのは初めてだ。
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