ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

１～１０話

３e、私は新しい家をわかっていない

ガルがローテーブルの上にあった小さなベルを鳴らすと、間を置かず扉がノックされる。
入ってきたメイドはガルと私の状態を見て僅かに目を見開いたけれど、淡々と用件を聞くと食事の支度をしに戻っていった。


ほどなくして豪華な料理の数々が運び込まれ、ローテーブルに所狭しと並べられる。
メイドが一礼して出ていくと、腕の拘束を緩めないままガルは言った。

「少し早いが一緒に夕食にしよう」

「私も食べていいんですか？」

「マヤのために用意させたんだ。どれでも好きなだけ食べるといい」

両脇に手を差し入れ持ち上げられたかと思うとくるりと向きを変えられる。
ガルの腿の上で横抱きにされる形になった。
背中を支えてくれる腕はがっしりとして安定感がある。

ガルは柔らかそうなパンを掴むと一欠けちぎって、私の口の前に差し出す。

「あの、ムグッ」

自分で食べられると言いかけた言葉は、口に突っ込まれた温かいパンと共に咀嚼されて消えた。

「肉も食べろ。細すぎて折れそうだ」

パンを飲み込むとすぐに、私の一口には幾分大きなサイズのステーキがフォークに刺されて口に運ばれる。

次々差し出される料理に頬をパンパンにしながらも、必死にもぐもぐと咀嚼する。
ガルは私が咀嚼する合間に、同じカトラリーを使って自身も食事を済ませていた。