上 下
4 / 9

やっぱり一目惚れの理由がおかしくありませんこと!?【後編】

しおりを挟む

 庭の奥まった位置にあるオリーブの木の下。
 ドロワースを下ろしてまくったドレスの裾を抱え、下半身を露出させて立ち尽くす私は、どうしてこんなことになったのだろうと遠い目で青空を眺めていた。

「そのままでは下着を汚してしまいます。完全に脱いでしまったほうがいいでしょう」

「あ、恐れ入ります……」

 土で汚れるのも構わず目の前にひざまずいたハルドが、片足ずつ、ヒールに引っかけないよう慎重にドロワースを抜き取ってくれる。

 そうしてドレスとヒールだけの姿になった私は、これが白昼夢であることを願いながら腕の中に溜まったドレスの裾をぎゅっと抱きしめた。

「裾は私が押さえておきましょうか?」

「お気遣いには及びませんわ」

 本当に、一体全体どうしてこんなことに。

「もっと脚を開いていただかなくてはよく見えませんが……。もしや、本当は恥ずかしく思——」

「そんなことありませんわ! ああー、見ていただきたくてたまらないわ!!」

「それでは、右足をこちらの石の上に」

 ハルドが示したのは、膝の高さほどもある艶々とした庭石。

「さ、さすがにそれは脚を開きすぎではないかしら?」

「やはり本当は見せたく——」

「見せたいですわ! とくとご覧あそばせ!」

 ヒールを履いた右足をカッと庭石の上に置き、改めてしっかりとドレスの裾をまくりあげた。

「…………」

「…………」

 ほんのりと暖かな風がそよそよと秘部に触れる。
 本当にこれはそよ風だろうか。目の前に跪いて顔を寄せるハルドの呼気ではないだろうか。
 なにせ、ものすごく顔が近いのだ。

 ——ああ、いっそこのまま気絶してしまいたい。

「……出にくいようでしたら、お手伝いいたしましょうか?」

「結構ですわっ!!」

 お手伝いって何!? 何をする気!?

 そんな恐ろしげな事態を招かないためにも、現実逃避はやめて真剣に下腹に意識を集中する。
 紅茶を飲んだのだから、出るものはあるはずだ。自分を信じて。出せる。出せる。

 ————あ、出そう。

 ちょろっ
 ちょぁ……じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ……

 明るい午後の日差しに照らされ、きらきらと散る黄金。
 先ほどの気まずいお茶会で嫌と言うほど飲んだ紅茶が、たっぷりの放水となって地面に叩きつける。

 お、音が……!

 小鳥のさえずる庭の一角。大きく開いた脚の間から一直線に降り注いだ黄金は、水溜まりに当たってジョボジョボと下品な音を立てる。

 じょぼぼぼぼぼぼ…………

 …………ちょぼっ、…………ぴちょん

 さすがにハルドの顔を見る勇気はなく、真っ赤な顔でぎゅっと目を瞑る。

 秘部を、ぬるりと湿った感触が撫でた。

「やっ、なに!?」

 バッと見下ろすと、いつかのようにハルドがハンカチで私の秘部を拭ってくれていた。
 ハンカチの感触とは違った気がしたのだけれど……秘部に顔を寄せポンポンとハンカチを当てるその優しい手つきに、みるみる羞恥が募っていく。

 私の視線に気付いたハルドは、ふわりと綺麗な笑みを浮かべて言った。

「たくさん出ましたね」

「わ、わわっ、わたくし……門限の時間ですので失礼いたしますわぁぁぁぁぁぁっ!!!」






 うららかな初夏の午後。
 その日、私の下着が一枚行方をくらませた。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

燐砂宮の秘めごと

真木
恋愛
佳南が子どもの頃から暮らしていた後宮を去る日、皇帝はその宮を来訪する。そして

彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した

Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。

さよなら私の愛しい人

ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。 ※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます! ※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【R18】仲のいいバイト仲間だと思ってたら、いきなり襲われちゃいました!

奏音 美都
恋愛
ファミレスのバイト仲間の豪。 ノリがよくて、いい友達だと思ってたんだけど……いきなり、襲われちゃった。 ダメだって思うのに、なんで拒否れないのー!!

処理中です...