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あれから数年がたった……。
レイラは、あの物語が始まる年齢なってしまっていた。
物語の中では、ヒロインと会ったユーリは一目惚れをし。婚約者であるレイラとは会わず、街に出掛けてはヒロインに会いに行くのだ。
だが、ユーリはヒロインであるガーネットと会ってからも、何故かガーネットに会いに行くということはせずに、婚約者であるレイラに頻繁に会いに来ていた……。
(……物語と違いすぎません!? 物語では、小さい頃に出会ったヒロインの事が忘れられず、婚約者にも会うことを避けていたんじゃなかったっけ?)
どこかで物語が変わってしまったのかと、レイラは不安になった。
(いえ。そんなはずは無いわ。だって、ユーリ様と一緒に街に来ていた護衛の方々が話していたもの。『あの時いた女の子、凄く可愛かったですね~』って……私には、あの人達そんな事言ってくださらなかったのに……。いえ、拗ねている訳ではないのよ? こんな、眠そうな目をして元が我が儘だった女なんか可愛いなんて思わないと思うもの!)
だからユーリも、可愛くて素直そうなガーネットをほっとかないとレイラはガーネットを一目見て思ってしまった。
ユーリがレイラを気にかけてくれているのは、幼い頃からずっと一緒に居たからだと。婚約者だからと……。
そんな事を思っていた。
だからこの1年、レイラはユーリを避け続けた。
「美味しいお菓子を貰ったからお茶会をしよう」と、言われたり。「何処かに出掛けよう」とユーリに言われたら、全て用事があると言いレイラは断った。避け続け、その間に自分の為に勉強や体術などを学んだ。全ては、ユーリに婚約破棄をされる前に自分から身を引いて一人で生きていく為に……。
だが、お菓子のお誘いがあった時は魅力的でついレイラは頷きそうになってしまっていた。
レイラが考え込んでいると、レイラの髪の毛をセットしていたヴィオラが呆れた様な顔でレイラを見てくる。
「……そういえばお嬢様、何で殿下を避けているのか知りませんけど、今謝っとかないと怒られても知りませんよ?」
「ヴィオラ何言ってるの? 優しい殿下が怒るわけ無いじゃない~」
確かに時々怖い目をしている時はあるけれど、ユーリが怒った所なんてレイラは見たことなかった。
いつもレイラを見る目は、優しい目なのだ。だが、そう思っているのはレイラだけだった……。
「……そんな事言うのは、お嬢様だけですよ」
ヴィオラは何かを思い出したのか、何処か遠い目をしながらそんな事を言った。
レイラから見ても、ヴィオラは凄くかっこよくなった。
サラサラとした黒色の短髪に、キラキラと宝石の様な赤い瞳に、程よくついた筋肉……。
小さい頃は可愛かったけれど、今は色気も出て来てかっこよくなってきた。レイラがヴィオラと街に行くと、女の人達からの視線が凄い。
だからと言って、ヴィオラから離れて歩いたら従者の意味がないとヴィオラに怒られてしまう。
「そういえば! 昨日殿下から、学校に一緒に登校しないかというお誘いがあったのをお嬢様断ったのですか?」
「えぇ、断ったわ。ヴィオラよく知っていたわね?」
その時、ヴィオラは出掛けていた。
この頃、ヴィオラは何処かに出掛けていく事が多かった。
「えぇ。まぁ、知り合いに聞きました。……それよりも、何で断られたんですか?」
(……誰にも物語の事は説明していない。だって、いきなりそんな事を言われたら、変な子だと思われてしまうわ。それに、絶対信じて貰えないだろうし……。)
「……す、少しユーリ様と距離をとろうと思ってね?」
「はぁぁぁぁ!?」
レイラの言葉を聞くと、ヴィオラは大きな声を出し。驚愕した様な表情でレイラを見ていた。
「もう! びっくりするじゃない!」
「いや。こっちもびっくりですよ!! あんだけいちゃいちゃしてて、何言っているんですか!?」
(い、いちゃいちゃって……。そんな事してなかったはずよ? 確かに、ユーリ様はスキンシップが多いけれど……。)
レイラが考えている事が分かったのか、ヴィオラは呆れた表情で見ていた。
「そんな事をして、殿下がそんな事を許す訳ないでしょう。それに、婚約者なんですから」
「……も、もしよ!? ユーリ様が違う人を好きになってしまうかもしれないじゃない?」
「それこそあり得ないですよ。殿下があれだけ、お嬢様といちゃいちゃしている事も私は見慣れていますが、他の方が見たらびっくりするぐらい珍しいのに……。なので、気にせずいちゃいちゃしとけば良いんですよ」
「き、気にせずって!! 私は恥ずかしいんだからね!?」
「はいはい。さぁ、終わりましたよ」
レイラの髪の毛のセットを終わったヴィオラを見ながら、レイラは拗ねたように頬を膨らませる。
( この頃、ヴィオラってば意地悪だわ! ……でも、ヴィオラが言っていたのは本当の事なのかしら? このまま、ユーリ様の事を好きになったままでも良いの?)
レイラは、ガーネットとユーリが結ばれてしまうなら自分が身を引こうと決意していたのが、少し揺らいでしまった……。
レイラは、あの物語が始まる年齢なってしまっていた。
物語の中では、ヒロインと会ったユーリは一目惚れをし。婚約者であるレイラとは会わず、街に出掛けてはヒロインに会いに行くのだ。
だが、ユーリはヒロインであるガーネットと会ってからも、何故かガーネットに会いに行くということはせずに、婚約者であるレイラに頻繁に会いに来ていた……。
(……物語と違いすぎません!? 物語では、小さい頃に出会ったヒロインの事が忘れられず、婚約者にも会うことを避けていたんじゃなかったっけ?)
どこかで物語が変わってしまったのかと、レイラは不安になった。
(いえ。そんなはずは無いわ。だって、ユーリ様と一緒に街に来ていた護衛の方々が話していたもの。『あの時いた女の子、凄く可愛かったですね~』って……私には、あの人達そんな事言ってくださらなかったのに……。いえ、拗ねている訳ではないのよ? こんな、眠そうな目をして元が我が儘だった女なんか可愛いなんて思わないと思うもの!)
だからユーリも、可愛くて素直そうなガーネットをほっとかないとレイラはガーネットを一目見て思ってしまった。
ユーリがレイラを気にかけてくれているのは、幼い頃からずっと一緒に居たからだと。婚約者だからと……。
そんな事を思っていた。
だからこの1年、レイラはユーリを避け続けた。
「美味しいお菓子を貰ったからお茶会をしよう」と、言われたり。「何処かに出掛けよう」とユーリに言われたら、全て用事があると言いレイラは断った。避け続け、その間に自分の為に勉強や体術などを学んだ。全ては、ユーリに婚約破棄をされる前に自分から身を引いて一人で生きていく為に……。
だが、お菓子のお誘いがあった時は魅力的でついレイラは頷きそうになってしまっていた。
レイラが考え込んでいると、レイラの髪の毛をセットしていたヴィオラが呆れた様な顔でレイラを見てくる。
「……そういえばお嬢様、何で殿下を避けているのか知りませんけど、今謝っとかないと怒られても知りませんよ?」
「ヴィオラ何言ってるの? 優しい殿下が怒るわけ無いじゃない~」
確かに時々怖い目をしている時はあるけれど、ユーリが怒った所なんてレイラは見たことなかった。
いつもレイラを見る目は、優しい目なのだ。だが、そう思っているのはレイラだけだった……。
「……そんな事言うのは、お嬢様だけですよ」
ヴィオラは何かを思い出したのか、何処か遠い目をしながらそんな事を言った。
レイラから見ても、ヴィオラは凄くかっこよくなった。
サラサラとした黒色の短髪に、キラキラと宝石の様な赤い瞳に、程よくついた筋肉……。
小さい頃は可愛かったけれど、今は色気も出て来てかっこよくなってきた。レイラがヴィオラと街に行くと、女の人達からの視線が凄い。
だからと言って、ヴィオラから離れて歩いたら従者の意味がないとヴィオラに怒られてしまう。
「そういえば! 昨日殿下から、学校に一緒に登校しないかというお誘いがあったのをお嬢様断ったのですか?」
「えぇ、断ったわ。ヴィオラよく知っていたわね?」
その時、ヴィオラは出掛けていた。
この頃、ヴィオラは何処かに出掛けていく事が多かった。
「えぇ。まぁ、知り合いに聞きました。……それよりも、何で断られたんですか?」
(……誰にも物語の事は説明していない。だって、いきなりそんな事を言われたら、変な子だと思われてしまうわ。それに、絶対信じて貰えないだろうし……。)
「……す、少しユーリ様と距離をとろうと思ってね?」
「はぁぁぁぁ!?」
レイラの言葉を聞くと、ヴィオラは大きな声を出し。驚愕した様な表情でレイラを見ていた。
「もう! びっくりするじゃない!」
「いや。こっちもびっくりですよ!! あんだけいちゃいちゃしてて、何言っているんですか!?」
(い、いちゃいちゃって……。そんな事してなかったはずよ? 確かに、ユーリ様はスキンシップが多いけれど……。)
レイラが考えている事が分かったのか、ヴィオラは呆れた表情で見ていた。
「そんな事をして、殿下がそんな事を許す訳ないでしょう。それに、婚約者なんですから」
「……も、もしよ!? ユーリ様が違う人を好きになってしまうかもしれないじゃない?」
「それこそあり得ないですよ。殿下があれだけ、お嬢様といちゃいちゃしている事も私は見慣れていますが、他の方が見たらびっくりするぐらい珍しいのに……。なので、気にせずいちゃいちゃしとけば良いんですよ」
「き、気にせずって!! 私は恥ずかしいんだからね!?」
「はいはい。さぁ、終わりましたよ」
レイラの髪の毛のセットを終わったヴィオラを見ながら、レイラは拗ねたように頬を膨らませる。
( この頃、ヴィオラってば意地悪だわ! ……でも、ヴィオラが言っていたのは本当の事なのかしら? このまま、ユーリ様の事を好きになったままでも良いの?)
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