魔王様に溺愛されながらも異世界快適ライフ

saku

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5.探検してみよう!

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(暇だ……。凄く暇。)
ミオはクラウドの膝の上で、お菓子を食べたり。睡魔と戦ったり。クラウドに頭を撫でてもらったりを繰り返しているが、やることがなくて凄く暇だだた。

(そうだ! これから此処で暮らしていくなら、何処に何があるのか把握していた方が良いよね! 早速、クラウド様に言ってみよう。)

そう思い、今だにミオの頭を後ろから撫でているクラウドを下から見上げる。
「クラウドしゃま。ミオ、おひまだからたんけんしちゃい!」

「探検?」

「確かに、此処で暮らしていくなら何処に何があるのか把握していた方が良いかもしれませんね」

(そうだよね、シルベットさん!)
クラウドは、顎に手を当てて考えているが。ミオはコクコクと頭を必死に縦に振り。頷いている。

「行きたいか?」

「あい! いきたいでしゅ!」
そう言いながらミオは手を上げる。クラウドは、そんなミオを見て。心配そうな表情で頭を撫でてくる。

「私やシルベットは仕事があるから、一緒に行けないし……。」

「一人でいけりゅよ?」

二人とも仕事があると思い。そう言うと、クラウドはまた悩んでいる様だ。

(心配性だな~)

心配している事に呆れながらも、ミオは少し嬉しくもあった。
「まぁ、大丈夫でしょう。入って危ない所は今無いですし」

シルベットはそう言うと、紙にこの城の案内図を書いてくれた。

書いてくれた紙を見ながら「昨日も思ったけれどやっぱり広いんだな~」と思っていた。

「ミオ。お菓子を貰っても、変な魔族と一緒に行ってはいけないですよ?」

「あい!」

(大丈夫! こう見えても、精神年齢は大人だから!! そんな事しないよ!)

「……ミオ。これも持っていけ」

クラウドはそう言うと、ミオが着ている物と同じデザインのメイド服を着たウサギのぬいぐるみを出した。

(今、何処から出たの!?)
ミオがびっくりした表情をしていると、シルベットがクスクスと笑いながら教えてくれた。
クラウドは、物を魔法で作れるらしい。

「かぁ~いね」

ウサギは、クラウドと一緒で紅の瞳に全身は黒色だった。
クラウドが手渡してくれたウサギのぬいぐるみを、ミオはギュッと抱き締める。抱き締めてみると、ふわふわで抱き心地が良かった。

「何かあれば、こいつが守ってくれるから手放すなよ?」

「あい!」
(このウサギのぬいぐるみ、そんな凄い機能が付いているの!? それは、ちゃんと持ってないと!! 私みたいな、か弱い女の子は魔族に勝てないからね!)

「しょろしょろ、いってきましゅ!」

「はい。行ってらっしゃい」

「気を付けるんだぞ? 何かあれば、大声で呼ぶが良い。すぐ行くからな?」

最後まで、クラウドは父親の様に心配をしていた。
シルベットは、クラウドとミオのやり取りを見ながら。ずっと、楽しそうに笑っていたのだった。

ミオは部屋から出て、てくてくと歩く。
今の所、誰にも会っていない。朝、食事をした所や。ミオの部屋や。クラウドの部屋を通り過ぎると、やっと階段を見つけた。

(もしかして、ここには私達以外入って来れない様になっているのかな?)

落ちない様に気を付けながら、階段を下りる。
下に行くと、魔族が沢山居た。皆、忙しそうにしている。
(……邪魔したらダメだよね。)

邪魔にならないように、ミオは端を通りながら移動する。
前から、朝にあった侍女の人が歩いてきた。

「あら? あなたは……。」

「ミオでしゅ! はじめまちて」

勢いよく頭を下げたからか、ミオは少しふらついてしまった。

「ふふっ。初めまして、ミオ。私は、メイド長のシルビアよ」

シルビアは、金の長髪を頭で一つに括っており。魔族の象徴である、赤い瞳が優しそうに細められている。

(メイド長! 私の上司だわ!!)

「シルビアしぇんぱい!」

「シルビアで大丈夫よ?」

「……シルビアしゃん」

ミオが先輩と呼ぶと、シルビアは笑いながら否定をしているが。目は、笑っていなかった。
それに気づいたミオは、慌てて呼び直す。

「ミオは、これから何処に行くのかしら?」

プニプニプニ……。

「えっと……でしゅね。まだ……決めてない……のでしゅ」
 
ミオが喋っている間、シルビアはミオの頬をつついていた。

プニプニプニ……。

「そう。じゃぁ、一階に行ってみたらどうかしら? キッチンもあるし。食堂があるから、人も沢山居ると思うわ?」

(キッチン! それは、気になる!!)

ミオの、次行く場所が決まった瞬間だった。
シルビアに詳しく聞くと。食堂に居るのは、仕事が一段落して休憩をしている魔族がほとんどらしい。そこで、皆に挨拶をしてきたらいい。と、教えてもらった。
シルビアと別れ、案内図を見ると。もう一階下に、下りないといけないみたいだった。ウサギのぬいぐるみを抱え直すと、落ちないように。慎重に階段を下りていく。
そんなミオをみた魔族達は、微笑ましそうにその姿を見ているのであった。

(よし! 下りれた~!! 体が小さいと、階段下りるのも一苦労だな~)

そう思いながらも、てくてくと歩き出したミオの目に。シルビア
に教えてもらった食堂が見えてきた。
少し離れた場所からでも、分かるくらい。良い匂いが漂ってきている。

(こ、この良い匂いは何!?)

そう思うと、ミオは走り出していた……。

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