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東北中學物語
番外編
しおりを挟む「なぁ、本当にやるのかよ」
座布団に正座をした蔵六は不安気に捨人を見上げる。大きな瞳はうろうろと彷徨い、心なしか呼吸も荒かった。
「やめる?」
捨人は蔵六と向かい合った姿勢のまま、億劫そうに言う。
「いや、別にそういうことじゃなくてだな……」
蔵六は頭を振ってそう答える。真っ直ぐに伸びた髪がサラサラと揺れた。
「大丈夫、だよ」
眼鏡を外し、ゆっくりと手を伸ばす。
「大丈夫」
優しく呟いて、唇を近付ける。
何度か接吻を繰り返すと、蔵六は緊張気味に口を開いた。舌を絡めると、卑猥な音が室内に響く。
「ん……っふ」
悩ましげな声をあげ、蔵六は服の袖を掴む。躊躇いながらも押し倒すと、さらに強く掴まれた。
制服を脱がせ身体を近付ける。
「あっ……ん、さくら。おれ――」
下肢に手を伸ばし、軽く動かすと、蔵六は全身を震わせた。
「もっ……、やめ……ろ」
力の入らない腕で掴み、ジロリと睨む。いまいち迫力に欠けた様子だったが、捨人は肩をすくめて手を離した。
「はいはい、分かりましたよ」
蔵六は捨人のほうへ手を伸ばし、釦を外し始める。震える指先を酷使する様子は、艶かしい。
「はっ……」
捨人が制服を脱ぐと、蔵六は満足そうに息を吐いた。
ここまではいつもやっていることだ。
「それで、どうすんだよ」
「先輩は、油を使えって言ってましたけど……」
戸惑いながら引き出しから油を取り出す。用途はなんとなく分かったが、いざ実行に移すのは気が進まなかった。
「分かった」
蔵六はそれだけ言って、何度か大きな深呼吸をした。
「本当に、いい?」
「なんだよ、怖じけづいたのか?」
捨人を睨み、そして手を伸ばす。
「大丈夫、なんだろ」
身体を起こして軽く接吻をした。
「ん、っあ」
次第に深くなる接吻に、蔵六は苦しげにうめく。再び下肢に手が伸びたのを感じ、身体を強張らせた。
「はっ、よせっ……!」
内部に侵入する異物の感覚に、眉を顰める。ぬるりとする感触は油なのだと数秒後に理解した。
「痛い?」
「痛くは、ねエけど……」
捨人の骨ばった指が、中を擦る。次第に増える指に、苦しそうに顔を歪めた。
「あっ、……ん。よせ」
「やっぱり無理なんでしょうか。痛い?」
捨人は不安気に首を傾げる。しかし指は止まることはなく、規則的に動かし続けた。
「ちが……痛くはねエけど、なんか、変だ」
そこに触れるたび、蔵六は変だと訴える。何度か刺激を繰り返すと、小さく喉を震わせた。
「……っひ、さくら、」
「そろそろ、いいですかね?」
ずるりと指を抜き、熱くなった下半身を押し付ける。
ゆっくりと腰を進めると、蔵六は唇を噛みしめ、悲痛そうに顔を歪ませる。
「いッ……」
歯を食い縛り、だらりと涙が垂れる。
「痛……い、」
「……すみません」
包み込む感覚に、頭がぼんやりとする。耳元で聞こえる苦しげな声すら、捨人の官能を煽った。
「大丈夫?」
「痛エよ、バカ」
潤んだ瞳で捨人を見上げる様子も、やはり淫靡だ。全てが収まると、そのまま小さく腰を動かした。
「ひッ……」
蔵六は小さく声を上げる。我慢がならなくなり、捨人は彼が先刻変だと訴えた場所を集中的に攻めたてた。
「それ……や、めろ……おれ、変になる」
前を刺激してやると、次第に声に熱がこもった。
「や、……おれ、モウ――」
「ええ、僕もです」
そう言って接吻を落とす。
規則的な動作は激しさを増し、やがて二人は欲望を吐き出した。
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