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7章 王家の醜聞
クロエの忠告
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「お兄さん大丈夫?」
「アーティのこと? ……大丈夫、いつものことだから」
クロエ・バクスター――二次会の立食パーティでは、白いウェディングドレスを脱いでいた。その瞳によく合う、ヒ素入りのシェーレ・グリーンのドレスを身に纏っている。私と同じで、死をあまり恐れていないタイプのようだ。
でも、アーティは違う。飄々としている癖に、他人を蹴落としてでも生に執着するキャラだ。そういうところが推せる、ってオタクたちの間では人気だったけど、目の前でやられるとさすがに可哀想かも。
ワイングラスをイッキに傾けた。慣れないことはするもんじゃない。小さな身体は、アルコールの分解に不向きであることは自明の理だった。うぅ、頭が痛い。
「クロエ、あなた……お兄様のこと嫌いだったんじゃないの?」
「あら、そうだったっけ?」
ふらふらする頭を押さえてクロエを見上げた。私と同じ転生者――前世でどれだけ徳を積めばクロエ・バクスターに転生できるんだろう。あーあ、羨ましい。
「私、あなたみたいにオタクじゃないの」
クロエは私の考えを見透かしているようだった。オタク――私ってそんなにオタクかなぁ。
クロエが赤毛を靡かせて私の身長に合わせて屈む。空になったワイングラス越しに、その体温が伝わった。コソコソ、他の参加者には聞こえないような音量で囁く。
「いいこと教えてあげる……あなた、ロリコンに人気があるみたい」
「はぁ?」
なにそれ。意味がわからない。少なくとも褒められていないことは確かだ。そういうオタクがつきやすいキャラクター、っていうのは理解してるつもりだけど。
クロエは私の手から空のグラスを受け取って踵を返した。人混みに紛れて、大人の社交界で要求される振る舞いを完璧にこなしている。オタクじゃない……たしかに、私とは違う人種なのかも。クスクス、楽しげに笑っているのが遠くに見えた。
「アーティのこと? ……大丈夫、いつものことだから」
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でも、アーティは違う。飄々としている癖に、他人を蹴落としてでも生に執着するキャラだ。そういうところが推せる、ってオタクたちの間では人気だったけど、目の前でやられるとさすがに可哀想かも。
ワイングラスをイッキに傾けた。慣れないことはするもんじゃない。小さな身体は、アルコールの分解に不向きであることは自明の理だった。うぅ、頭が痛い。
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