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1章

30話 イメチェン大暴走?

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素性不詳なお隣さん(ちなみに魔の森)、ザグトウェスが挨拶に来たことを除けば、何も変わりのない平和な朝。

「起きてくださいレン様、時間です。……珍しいですね、起こす前から起きてるなんて」

今日はリーナが起こしに来た。
リーナが言ったように、俺は珍しく起きていて、ベッドから身体を起こしていた。

「自分でも分からんが、早く起きた」

「何度も起こす手間が省けてよかったです。……本当は久しぶりのレン様の寝顔を拝みたかったですけど、何故私の番に限って起きてるんですか」

「なにかいったか? 」

「いえなにも。では私はこれで」

なにか小声で呟いていた気がしたのだが。


今日も皆揃って食事をして、各々自分のやりたいことをしだす。

リーナとトメリルが纏めた資料を確認して、はんこおして、重要そうな案件だけ隅にやる。

今日も特に問題なさそうで安心した。

開放された俺は、自分の部屋に籠る。
何をするかというと。

机に置いておいた楕円形で細長い瓶状のモノを手に取る。
そして、フタを開けて頭にやる。

ああ、境目を分けるために、半分覆い被せないとな。
適当に錬金術でそれっぽいのを作って、被せる。
これで半分だけ染めれるはず。

今度こそスプレーを噴射して、髪をもんていき馴染ませていく。銀色だった髪がみるみる黒に染まっていき、ものの数分で染まりきった。

後は色落ちしないようにこっちのスプレーをかけて同じ工程をして……っと。

鏡の前に立ち、確認してみる。
銀と黒で綺麗にわかれており、思ってた通りの結果。

染めたいとはぼんやりとしか思ってなかったが、暇だったし道具も直ぐ作れたのでやってみた。

思い立ったが吉日って言うしな。
 
自分ながらに満足した俺は、皆にも感想をもらおうと部屋を出て探す。 

リーナと廊下でばったりあった。

「……なんですかその頭」

「イメチェン、みたいな? で、どう? 似合ってる!? 」

「正直ビックリしましたが、まぁ似合ってますよ。……かっこいいです」

おお、リーナが素直に褒めてくれた。ダサいとか言われたらどうしようかとおもってたけど、杞憂だったみたい。

俺はリーナに褒められてルンルンになりながら、屋敷中を駆け回った。


「なぁなぁトメリルこれどう? 」

「イメチェンですか! かっこいいです! 素敵! 」

トメリルを発見して、褒めてもらい、

「二人とも! この色合いどんな感じ? 」

「レンさまの白銀の髪が半分だけ黒になってる! 今までずっと白銀だけを見てきたからなんか違和感すごいですけど、かっこいいです!! (はわわ……!!? 突然部屋にきたと思ったら、かっこいいレンさまが更にカッコよくなってやってきた!? 前のレンさまもいいけど、今のもいい!! )」

「ん。漆黒の精霊が好みそうな黒。紹介したら喜びそう」

トゥーンちゃんとトルンの部屋に押し入って、二人にも褒めてもらった。

俺は銀も好きだが黒も好きだからな。
漆黒の精霊とやらと、一度話してみたいものだ。


そして次はクレ二の部屋に突撃。

「ちょっと、ノックもせずに入ってこないでよ!? 幾らレン君でも、いやレン君だからこそノックして欲しいんだけど!? 心の準備ってものがあるのよ乙女には!! 」 

クレ二がなんか抗議してきてるけど、いち早くみんなに染めた髪を見てもらいたかった俺の耳には何も入ってきてなかった。

「そんなことより、これみて! どう!? 」

頭を指さして、言う。

「そんなことより!!!??? 」

クレ二が素っ頓狂な声を上げていたが、手の動きに合わせて目を追いやる。

「あっ……♡ かっこいい♡♡♡♡ 」

でへへ、と笑いながらベットにすとんと背中から倒れる。

俺はそんなクレ二を放置して、次の元へ向かう。

はっやく、はっやく!
まだ見てもらってないのはマーリンとレミナだけだな。


庭で優雅に飲み物を飲んでいるマーリンを見つけた。
目をキランと光らせて、庭に向かう。

「レンちゃんどうしたの~そんなに急いで~。ああ、髪を染めてみたのね」

「どう!? 感想!! 」

「イケてるわよ~。これだと更にモテそうで大変ね」

「よっしゃー! 」

「お茶でも一緒に飲む? 」

「いらなーい」

きびすを返して、部屋の中に戻る。

「た、たまにはマーリンとの時間も……」

そんな声が後ろから聞こえた気がする。


「レミナこれをみろ! 」

「んごごご……」

最後の一人、レミナの元に向かった訳だが、案の定爆睡を噛ましている。

とても女とは思えないイビキだが、今はどうでもいい。

おらっ! 起きろ!!

ペちっ! ペちっ! ペちっ! ペちっ!

往復ビンタをしまくるがそれでも起きない。

ぐぬぬ、早く俺のかっこいい髪を見てもらいたい。
どうにか爆睡モンスターのレミナを叩き起す方法はないか。

周りをキョロキョロと見渡すと、例のブツが目に入った。

レミナのやつめ、目覚まし時計君の音を少しでも遮るために、毛布をかけて、ベットの隅の方に置いてやがる。

俺はそれをぶんどると、【改良】で試作機の音量設定に戻し、【起こす時間】を1秒後にセットして、スタートボタンをおす。そいつをレミナの耳元、いや耳に押し付ける。

1秒後に設定したため当然ーーー

ビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「おんぎゃああああああああああああ!!!!!!!???????!!!!!!?????」

突如鳴り響く爆音に、流石の爆睡モンスターレミナも飛び起きる。とんでもない量の汗を垂らしながら、俺を見る。

「ななななななななななににににににに!??!!??!?!?!? 」

はぁ、やっと起きたか。
俺は頭を指さしてとぅっ∠( ・ω・)/。

「髪染めてみたんだけど、どうだ? 」

「あ? ま、まぁいいんじゃねぇか。で、どうしたんだ……急に起こして……っていない!?!? あのやろ、まさかそんなどうでもいい報告するためだけにこれ使ってまで起こしやがったのか!? 」


全員に見てもらい、感想をもらった俺は満足して、ホクホク顔で部屋に戻り、眠りについた。


そのあと、治すのを忘れていた目覚まし時計君(レミナver)を使われて起こされた上に、全員にみっちり怒られ(特にクレ二、マーリン、レミナ)、1時間ほど正座をさせられたのは言うまでもない。

特にクレ二とレミナの二人はこの一日顔を合わしてくれず、口も聞いてくれなかったのだった。


けど俺、そんな悪いことしたかなぁ?

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