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1章

20話 お風呂作って欲しいな♡

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「レン様?? 私達に面倒事押し付けて、いつの間にか帰ってましたね?? 」

「そそそそそそれは理由があってだな!! 」

「理由? 納得のいく説明が出来るのであれば許します」

「トゥーンちゃんが熱でぶっ倒れたから介護してた! そんな疑わしい目でみないで!? ほんとだよ!? 」

トゥーンちゃんには悪いが俺の理由となってもらおう。

しかしリーナは一筋縄で行かないのは分かっている。

「トゥーン様が熱ですか……それは心配ですので後で私も様子を見てきますが……何故それが分かったのですか? えぇ、【帰ってこずに】あの場で分かっていたから、トゥーンちゃんを心配して先に屋敷に戻ったんですか? 」

物凄い圧がかけられている。全部分かってんだぞ、と。嘘ついたらどうなるか……。傍から見たらどちらが領主か分からないよねこれ。

「まぁしかし、結果的にレン様がいち早く帰ったことによって、トゥーンちゃんを大事にはさせなかったので責めれないんですけどね。領主が居ないので案内もままならずそのまま連れ帰ってしまいましたが、よろしかったですか? 」

怒られなくてよかったと、ほっと息を撫で下ろす。
連れ帰ったとは言うが、あいつらの姿は見当たらない。

「まだ玄関に待機させてますよ。仮にもここは領主の屋敷ですし、判断を仰いでからにしようと」

「いや俺を追ってこんなとこまでやってきた三人を、屋敷に住ませないなんて言うと思う!? 」

「形式です形式。私もレン様がそんな酷い人だとは思ってませんよ。心外です! 」 

「ん、入れる前にリーナに聞いときたいんだけど、正直びっくりした? アイツらが来て」

「それはもちろんびっくりしましたよ……急に引き返せなんて言って飛び出して行ったかと思えば、聖女様と賢者様と研究師様を連れて戻ってきたんですから……私的に聖女様はおそらくやってくるだろうなと読んでましたが、賢者様にはびっくりです。王都を捨ててまでここ(ヘレクス領)に来た、これらだけでも驚きですが、理由をご本人様方に聞いて呆れました。……気持ちは分からなくもないですから歓迎しますけど」

「俺がびっくりだよ……そんなに慕われてたなんて思ってもなかったからな」

ずっと外で待たせていても可哀想だし、ドアを開けて三人を中に入れる。

「お邪魔するわよ……(ここがレン君の御屋敷!! すっごく広いし、天井の照明も高級そう……というかレン君の匂いすぅぅぅぅ!! あたし今日からずっと同じ屋根の下で暮らすのよね!?  まじで王都出て正解だわ)」

「王都にある屋敷と比べるとかなり小さいけど、それでもこの領地の中では一番広いのかしらね」

「ひれーな、所々やっぱガタがきてそうな箇所もあるが、当分は大丈夫だろ」

全員お気に召してくれたようでなによりだ。
レミナが言ってた通り、改修しておくべき箇所も何点かあるから、当分とは言わず後で治しておこう。最初来た時にやばそうなとこは修復しておいたんだが、それでも取りこぼしはあるからな。

住む人数も増えるわけだしな。事故が起きてからでは遅い。


その後、部屋の振り分けを行うためにリーナに空き部屋を案内してもらってる間に、俺はガタがきてそうな箇所を急ピッチで治していった。部屋を決め終えて皆が戻ってきた頃には、作業も全て終わり、無事綺麗な屋敷になった。
 
ご飯を食べて終えてそれぞれ今日はお開き。その前にクレニが聞いてきた。

「お風呂ってないの? 」

その発言に女性陣の注目が走るーーー!
って、俺以外全員女子なんだがな。

どうなの? 作るよね? 作らないなんて言わせないよ? と、圧力がかかりまくったので明日お風呂を作ることを約束させられかける。

俺は、

「いやいやシャワーでいいでしょ!? 」

そう抵抗したのだが、

「では多数決を取りましょう。まずはお風呂は要らない人は手をあげてください」

流石リーナ。場をまとめるのが上手い。俺の反論に阿鼻叫喚となりかけたこの場を一瞬で沈めた。

スっっっっゥ!!!!

ピンッと指先まで伸ばして、手を真っ直ぐとあげる。

もちろんこの場で手を挙げた人間はたった一人。

「次、お風呂が欲しい人は手をあげてください」

ザッッッッッッ!!!!

恐ろしいスピードで手が上がっていく。
絶対に風呂を作らせてやるという強い強い意志と圧に押し寄せられる。

「ってことなので作ってくださいね」

「い、異議あり!! この場には屋敷の仲間なのにこの投票に参加出来ていない人物が2人いる!! 仲間を除け者して投票を決めるなんてフェアじゃないだろ!! 」

俺は見苦しく、あーいや、こーい。こーいや、あーい。
しかしこれも直ぐにツッコミが入る。

「現状でも1:5ですので、もし仮にトルン様とトゥーン様が反対意見でも3:5なので覆ることはないです」

「というか女子はお風呂に入りたいもんなんだよ! その二人って女子よね? 」

クレニの問いに頷くリーナ。

「だったら聞くまでもなく賛成側だと思うわよ。レン君お願い♡ お風呂作って欲しいな♡ 」

「ツクリマス……けど明日でオネガイシマス、ハイ」

俺はシャワーでいいよね派だから、一切作ろうとは思ってなかったが、女子ズの熱い要望により、いや半ば強制的に作らされることとなった。

これ俺にメリットないじゃん!!
けどこういう要望にも答えるのが領主の役目かと納得して、今日は眠りについた。
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