辺境左遷の錬金術師、実は人望が国王以上だった〜王国在住の剣聖や賢者達が次々と俺を追って辺境に来たので、のんびり最強領地を経営してみる〜

雪鈴らぴな

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1章

6話 和解したら即落ち二コマ並の改心具合だった件

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恐る恐る話しかけてきた領民たちと会話して、少しは打ち解けられたと思う。

僕は何をやってますだの、領主様は何故追放されてしまったのかだの、お互いのことを聞きあった。
 
そんなこんなで過ごしていると、ガークが髪をガリガリとかきながら、近づいてきた。
 
パッと見、体調は大丈夫そう。エリクサーぶっかけたし、ほりゃ万全になってなきゃ詐欺エリクサーならぬ詐欺クサーになってしまう。

「わりぃ、手加減があんま出来ずに大怪我おわせちまったな」

生まれてこの方手加減なんてほぼせずに、一生懸命生きてきたから、やわな手加減になってしまった。不手際で傷つけてしまったのだし一応謝っておく。

けどこいつが喧嘩ふっかけてきたんだし、多少のダメージは覚悟していたはずだ。なんならこいつ殺しにきてたよな?

「あ、あれで手加減してたのか!? 」

「領主様……なんてお方なんだ」

「ん……? まって!? 手加減してたってことは別々の魔法を二つ同時に展開してたってことよね!? 魔法二重展開なんて初めて見たわ!? 」

「二重展開ってよそでいう冒険者だとSランク級じゃないか! 」

「いや、ちげぇ……3つだ! 最後のガークを受け止めた白いふわふわとしたアレも領主様が使った魔法だ! 」

残念! 正解は4つです! なんてバカ正直に伝えたら卒倒してしまいそうな勢いだ。とてもじゃないが言えない。
へ? なんで同時並行で魔法を使っただけでこんなに騒いでるんだ?  
もこもこ魔法は別に大した魔法じゃないし、子供でも簡単に覚えれそうなんだけどな。ナナンちゃんあたりに教えてたら数十分でモノにしそう。
 
すげーって騒いでる領民たちの近くで俺の右手をじーと見てるナナンちゃん。
もしかして興味あるのだろうか? 今度教えてあげよう。

「てめぇ……いやレン様、俺なんかに伝説の薬ポーションであるエリクサーを使ったのはなんでなんだ? 俺はレン様を殺す覚悟で攻撃したんだ、殺されても文句は言えない。だというのに、周りに影響が出ないようにバリアを展開し、魔法を打った際には俺を案じて手加減をして更にそこから威力が減少するような魔法までかけて……なんでそこまでするんだ? 」
 
質問が長いし多い……。全部ぶっちゃけどうでもいいでしょうが。ありがとう、はい終わり。これで済む話なのに。  

めんどくせ!!

「はぁ、仮にも俺は領主なんだぞ? 楯突いてきたからって領民魔法で爆殺したら大問題だろ。正直最初はやりすぎたって思ったくらいだ」

「そ、そうかよ……けどよ! エリクサーをあんな怪我ごときになんで使っちまうんだよ!? レン様が自分のために持ってたんじゃねぇのか」

そういえばガークはキラキラ石を見れてないから、俺が大金はたいて自分の護身用に買ったモンだと勘違いしてんのか。

「いや、ぶっちゃけエリクサーなんていくらでも作れるからそこはなんも気にする必要はないぞ。あ、他のみんなももし怪我したり体調が悪くなったら俺に言ってくれ。直ぐにエリクサー作るからさ」

伝説のポーション、万能秘薬エリクサー、その名の通りの代物。酒飲みまくって二日酔いになった朝とかにエリクサーを1個飲んだら、見違えるくらい頭がスッキリすんだよな。

毎日の生活の始まりにエリクサーを飲めば皆、良い一日を過ごせるのでは……?

「よし! これから領民全員にエリクサーを配って毎朝飲んでもらおう!」

「「「いやいやいや!? 何言ってるんですか領主様!? 」」」

目ん玉飛び出るんじゃないかってくらい驚いた領民たちは、慌てふためきながら、NOを言ってくる。

そんなにダメらしい。

「いい案だと思ったんだけどなー」

「「「そういうことじゃなくてですね!! 」」」

この後も結局認められることはなく、毎朝エリクサー生活は却下されたのであった。

くそぉ……絶対いつかリベンジしてやるからな!! 




んで、話が少し脱線したが元に戻す。

「毎朝全員にエリクサー渡せるくらいに、これを作るのは楽な仕事だからガーク、お前が何か気にする必要は無いし、引け目に思うこともねーからな」

あ、それと。

「後、お前にレン様って呼ばれるとなんかむずがゆいし、柄でもないだろうから好きに呼んでいいぞ。最初みたいにてめぇ、でもいいしな」

こんな金髪半グレみたいないかつい容姿の男に様付けで呼ばれるのはなんかね。

「さ、流石に領主サマと認めた男をてめぇ呼ばわりは他のヤツらにぶん殴られちまうわ。ほら見ろレン、トメリルが鬼の形相で俺みてんぞ」 

あ、ほんとだ。背後に鬼がいる。威圧感がパない。
視線だけでガークを射抜いて殺しちまいそうだ。

「おーレンで全然いいぞ。認めてくれたってことでいいんだよな? 」

「あぁ、流石にこの短時間でこんなすげぇの見せられたら認めざるをえねぇよ。これからヘレクス領と俺たちをよろしくな、レン! 」

「任せとけ! 一緒にさいっこうの領地にして、支援してこなかった国やアホ領主どもを見返してやろうな! 」

固い握手を交わし、ガチっと握り合う。

「おめーんら中でまだレンを認めねぇ、なんて戯言(たわごと)抜かすやつぁ、居ねぇよな? 」

頷く領民。ガークの取り巻きや、さっきはガークに賛成してた者も皆が満場一致で頷き、拍手をしてくれていた。

こうしてこの場の全員に笑顔で認められて、無事正式にヘレクス領主となったのであった。

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