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1章
5話 喧嘩売られたけど余裕です
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「またこの人も逃げ出すんじゃねぇの? 何回目だよ、これ」
一人の男がため息をつきながら、こちらを睨み前に歩みでてくる。
多分、俺と同じか少し下の年齢っぽい。
いかにもって感じのチンピラ。
他の人たちはというと真っ青な顔をしていた。
「お、おいガーク……領主様にその態度はないだろ……お前のせいで気分を悪くして出ていかれたらどうするんだよ」
「そうです! ガークさん、レン様に失礼です」
うんうん、と頷く人もいれば、ガークに賛成だって人も居る。7:3って感じだろうか。
「ガーク、あんたの言い分はごもっともだ。何回も期待を裏切られたらそりゃ信じれなくなるよな。俺にはあーだこーだ言う権利はない。レジエントの元王族としてヘレクス領の全員に謝らせてくれ、すまなかった」
俺が頭を下げて謝罪すると、どよめきがはしった。
「なっ!? レン様が謝罪する必要はありません。任された責務を投げ出して逃亡した無責任者の尻拭いをするはおろか、それを代表して謝罪するなどレン様の名に傷がつきます」
「そうですよ! 領主様が謝罪する必要ありません! 確かにあたし達は、見捨てて逃げ出した前領主たちに怒ってますし、許さないですが、領主様は違うじゃないですか……」
「なんで俺がそいつらとは違うって断言できるんだ? そこがガークも気になってんだろ? 」
俺がそう言うと、ガークも「あぁ」と頷いた。
トメリルさんは俺の問いに目をぱちくりさせた後、不思議そうに言う。
「あたしにも分かりませんが……なんかこう雰囲気とか、言葉に説得力があるんです。何言ってるか分からないかもしれませんけど……この人なら信じれるって、心から思ったんです! 」
トメリルさん……。
実の父親や兄弟に何も信用してもらえなかったからか、こうして信用してくれた、認めてくれた人が居ることに感動してしまう。
「ちっ、トメリルがそう思ったんならもう好きにしろ、俺は知らん、好きにやらせてもらう。レン、だったか? 俺と勝負しろ」
「はい? 勝負? 」
え、何言っちゃってんのこの人。 今、すっげーいい場面だったよね? なんか水刺された気分。しかも勝負しろとか言ってくるし。
「俺と一体一で勝負しろ。三本勝負で一本でも俺から取れたら認めてやるよ」
なんて傲慢なのこの人……。
「嫌だといったら? 」
「ハンっ、逃げんのか、まぁいいぜ」
「いや俺にメリットないんだがそれ」
別にこいつに認められようが認められまいがどうでもいいんだが。どうせ領主しないといけねーんだし。
「勝ったらてめぇの命令でもなんでもきいてやるよそしたら、それでいいだろ? 」
はぁぁぁ。めんどくせー、やるけど。
ガークの後を付いていき、道の真ん中で向かい合う。
「おらぁッ! 行くぞ! 」
はぁぁぁ!?
こいつ、あろうことか試合の合図も何もなしに、腰に携えていた剣を抜いて、斬りかかってきた。
卑怯すぎんだろ。
まぁ、俺もこれから卑怯なことすんだけどね。
「おらおらぁ! 俺はこれでも昔はそれなりの《剣士》だったんだよ! 少し前までぬくぬく暮らしていたような王子様にはこの剣筋すら見えねぇだろ? 」
「いや、見えるけど」
二本指で受け止める。
「なっッッ!? 」
長々と自画自賛した割には、ふつーのスピードだし、へなちょこだし。
「次は俺のターンでいいよな? 」
アイテムボックスから杖を取り出して、先端を向け一言。
「なんかめっちゃ強い魔法」
唱えると同時に、魔法には威力減少魔法を掛けて、周囲にバリアドームを展開し強度強化付与も掛けておいた。
ほぼゼロ距離で「なんかめっちゃ強い魔法」をもろに食らったガークは吹き飛んで行く。
このままではバリアドームに激突してしまう。
俺はすんでのところで《クッション》をガークの背中に付与して、衝撃を吸収させた。
背中にドームがぶち当たる瞬間、もくもくと雲のような物体が背中から身体を覆い被さる。これで大丈夫だろう。
まぁ、全面は魔法直に当たってるし、大怪我してるみたいだけど。
バリアドームとクッションを解除して、ガークのとこに行く。
威力減少魔法を掛けたとはいえ、「なんか(以下略」はその名の通りかなりの強さを誇る魔法。
大怪我だけで済んでるのを見る限り、かなり鍛えてるようだ。
ポケットからキラキラと輝く石を取り出す。
これを握って、超万能薬であるエリクサーになるように念じる。
すると、ほわあぁ…と石が優しい明かりを発して、収まると緑色の液体が入った詰め物にかわっていた。
これがエリクサーだ。
「な!? 」
「あの石はまさか……」
「いやいや見間違い……だめだ、何回目を擦っても見えるんだが」
なんか領民たちがコレに驚いてる。
ぶっちゃけこれかけとけば、靭帯損傷でも治るらしい。
試したことないけど腕ちょんぎられても、傷口にかければニョキニョキ生えてくるって聞いたことがあるくらいにやばい代物。
これからも試そうとは思わないが、ぶっちゃけ少し気になるよね
とりまこいつをガークにぶちまけてっと。
次はなんか緑色のぽわぽわが現れて、その数秒後には血だらけで、肌も剥げてた身体が、女性もびっくりのすべすべお肌になっていた。
あら、なんか領民の女性陣がぎょっとしてる。
ってそれはそうとガークが目を覚まさない。お前、気絶してたんか。
領民二人がぺこぺことお辞儀をしながらガークをおぶって、どっかに連れていった。
ガークの目が覚めるまで気まづ過ぎんか……?
ほかの領民が話しかけてくれたので起き上がるまでの間、楽しく過ごせたのであった。
一人の男がため息をつきながら、こちらを睨み前に歩みでてくる。
多分、俺と同じか少し下の年齢っぽい。
いかにもって感じのチンピラ。
他の人たちはというと真っ青な顔をしていた。
「お、おいガーク……領主様にその態度はないだろ……お前のせいで気分を悪くして出ていかれたらどうするんだよ」
「そうです! ガークさん、レン様に失礼です」
うんうん、と頷く人もいれば、ガークに賛成だって人も居る。7:3って感じだろうか。
「ガーク、あんたの言い分はごもっともだ。何回も期待を裏切られたらそりゃ信じれなくなるよな。俺にはあーだこーだ言う権利はない。レジエントの元王族としてヘレクス領の全員に謝らせてくれ、すまなかった」
俺が頭を下げて謝罪すると、どよめきがはしった。
「なっ!? レン様が謝罪する必要はありません。任された責務を投げ出して逃亡した無責任者の尻拭いをするはおろか、それを代表して謝罪するなどレン様の名に傷がつきます」
「そうですよ! 領主様が謝罪する必要ありません! 確かにあたし達は、見捨てて逃げ出した前領主たちに怒ってますし、許さないですが、領主様は違うじゃないですか……」
「なんで俺がそいつらとは違うって断言できるんだ? そこがガークも気になってんだろ? 」
俺がそう言うと、ガークも「あぁ」と頷いた。
トメリルさんは俺の問いに目をぱちくりさせた後、不思議そうに言う。
「あたしにも分かりませんが……なんかこう雰囲気とか、言葉に説得力があるんです。何言ってるか分からないかもしれませんけど……この人なら信じれるって、心から思ったんです! 」
トメリルさん……。
実の父親や兄弟に何も信用してもらえなかったからか、こうして信用してくれた、認めてくれた人が居ることに感動してしまう。
「ちっ、トメリルがそう思ったんならもう好きにしろ、俺は知らん、好きにやらせてもらう。レン、だったか? 俺と勝負しろ」
「はい? 勝負? 」
え、何言っちゃってんのこの人。 今、すっげーいい場面だったよね? なんか水刺された気分。しかも勝負しろとか言ってくるし。
「俺と一体一で勝負しろ。三本勝負で一本でも俺から取れたら認めてやるよ」
なんて傲慢なのこの人……。
「嫌だといったら? 」
「ハンっ、逃げんのか、まぁいいぜ」
「いや俺にメリットないんだがそれ」
別にこいつに認められようが認められまいがどうでもいいんだが。どうせ領主しないといけねーんだし。
「勝ったらてめぇの命令でもなんでもきいてやるよそしたら、それでいいだろ? 」
はぁぁぁ。めんどくせー、やるけど。
ガークの後を付いていき、道の真ん中で向かい合う。
「おらぁッ! 行くぞ! 」
はぁぁぁ!?
こいつ、あろうことか試合の合図も何もなしに、腰に携えていた剣を抜いて、斬りかかってきた。
卑怯すぎんだろ。
まぁ、俺もこれから卑怯なことすんだけどね。
「おらおらぁ! 俺はこれでも昔はそれなりの《剣士》だったんだよ! 少し前までぬくぬく暮らしていたような王子様にはこの剣筋すら見えねぇだろ? 」
「いや、見えるけど」
二本指で受け止める。
「なっッッ!? 」
長々と自画自賛した割には、ふつーのスピードだし、へなちょこだし。
「次は俺のターンでいいよな? 」
アイテムボックスから杖を取り出して、先端を向け一言。
「なんかめっちゃ強い魔法」
唱えると同時に、魔法には威力減少魔法を掛けて、周囲にバリアドームを展開し強度強化付与も掛けておいた。
ほぼゼロ距離で「なんかめっちゃ強い魔法」をもろに食らったガークは吹き飛んで行く。
このままではバリアドームに激突してしまう。
俺はすんでのところで《クッション》をガークの背中に付与して、衝撃を吸収させた。
背中にドームがぶち当たる瞬間、もくもくと雲のような物体が背中から身体を覆い被さる。これで大丈夫だろう。
まぁ、全面は魔法直に当たってるし、大怪我してるみたいだけど。
バリアドームとクッションを解除して、ガークのとこに行く。
威力減少魔法を掛けたとはいえ、「なんか(以下略」はその名の通りかなりの強さを誇る魔法。
大怪我だけで済んでるのを見る限り、かなり鍛えてるようだ。
ポケットからキラキラと輝く石を取り出す。
これを握って、超万能薬であるエリクサーになるように念じる。
すると、ほわあぁ…と石が優しい明かりを発して、収まると緑色の液体が入った詰め物にかわっていた。
これがエリクサーだ。
「な!? 」
「あの石はまさか……」
「いやいや見間違い……だめだ、何回目を擦っても見えるんだが」
なんか領民たちがコレに驚いてる。
ぶっちゃけこれかけとけば、靭帯損傷でも治るらしい。
試したことないけど腕ちょんぎられても、傷口にかければニョキニョキ生えてくるって聞いたことがあるくらいにやばい代物。
これからも試そうとは思わないが、ぶっちゃけ少し気になるよね
とりまこいつをガークにぶちまけてっと。
次はなんか緑色のぽわぽわが現れて、その数秒後には血だらけで、肌も剥げてた身体が、女性もびっくりのすべすべお肌になっていた。
あら、なんか領民の女性陣がぎょっとしてる。
ってそれはそうとガークが目を覚まさない。お前、気絶してたんか。
領民二人がぺこぺことお辞儀をしながらガークをおぶって、どっかに連れていった。
ガークの目が覚めるまで気まづ過ぎんか……?
ほかの領民が話しかけてくれたので起き上がるまでの間、楽しく過ごせたのであった。
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