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三章『ギア編』
第292話 サンライト13
しおりを挟むよくよく考えてみればここまで名前も決めずに少女少女と呼び続けていた方がおかしいのだ。
ともあれ片方ならまだしも(片方ですらままなってない)、2人いっぺんに名前を決めなくてはならないというのは至極大変なことだ。
「俺は剣の才はあってもそういった名前を決める脳はないのだ」
「な、んでも、いい、オガサ、きめた、なまえに、する」
「俺モ」
うーん。あ、そうだ、ここで俺は閃く。死んだ両親がヒマリの名前を決める時に候補にしていた名前がいくつかあったな。
「コスモ」
「こ、すも?」
「俺の妹につけようとしていた名だ、それをやろう」
「あり、がと、こすも、こすも」
少女、いやコスモは嬉しそうに呟いている。
ブラッドハウンドからの視線が痛い。
「分かってる、そうだな男の子が生まれた場合の名前もあったな、確かダリア」
「ダリア、覚エタ」
2人の名付け親になってしまった。
まぁ、王国に帰ったらこの2人を養子にするのもいい。
・・・・・・まだ結婚すらしてないんだがなぁ。
それに少女とはいえヒマリと同い年くらいだ。親子というより年の離れた兄妹だ。
って、コスモには帰るところはないんだろうか?
「コスモ」
「な、に?」
「今更な質問だが帰る家はあるのか?」
「な、い、むら、やかれた」
「そうか、じゃあ養子にするか」
「よ、うし?」
「俺の家族にするってことだ」
「・・・・・・っ!!」
コスモは首を縦にブンブン振る。
「主人」
「ああ、ダリアも家族だ」
なんだこいつら可愛いな。これでまた帰る理由ができたな。
「さて、そろそろ行くか」
「ど、こに?」
「先日、魔王軍に入団希望書を送ったのだが、二つ返事で許可が降りた、今日の夜からは、魔王城のベッドで眠ることになるぞ」
コスモの顔が暗いものとなる。
「嫌か?」
「ま、おうじょう、こわい」
確かに人間なら死地と言っても差し障りないだろう。
そんな地獄の底に向かおうというのだから怯えないわけがないか。
「そうか、嫌ならダリアと一緒にここで留守番を」
「それは、いや」
いつになくコスモの口調が強いものになる。
「・・・・・・ダリア、俺が言った事、覚えてるよな?」
「ハイ、少女、コスモヲ死んでも守れ、デス」
「そうだ、魔王城でもそれは変わらないからな」
「ハッ」
「よし、それじゃあ悪の総本山にいっちょ侵入と行くか」
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