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三章『ギア編』

第283話 サンライト4

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 さて、話を戻す。

 俺は依頼書をよく見る。場所は針山(ニードルマウンテン)。
 針山(ニードルマウンテン)はその名の通り、木々の代わりに鋼の針が生えている異形の山だ。

 そして異常の起きている場所は魔力濃度が濃い場所と決まっている。

 魔界自体が魔力が不安定な場所だ、そういう所はより一層濃度が高くなっている可能性がある。

「魔力を喰らい更なる進化を目論んでいるのか」

 だとすると討伐は早いに越したことがない。
 怪鳥を従える魔物使いに頼んで現場まで乗せてもらうか。

 俺が支度をしようと宿屋に戻ると、そこには人集りができていた。

 みんな俺よりずっと先輩の魔族の冒険者たちだ。
 ランクは俺と同じAだが、ここではあいつらの方が一般的な冒険者だ。

 4、5人で結成されたパーティが6組。リーダーが一つのテーブルに集まっている。

 俺はカウンター席に座ってさりげなく話を聞くことにした。

 魔族の剣士が大きな声で話している。

「針山(ニードルマウンテン)の魔獣は強い。針山(ニードルマウンテン)を監視していた監視塔が破壊されたって話だからな」

 魔族の魔法使いが驚いた声を上げた。

「監視塔の監視員は魔王軍の兵士が担当していたはずだ。常駐している兵士の数は私たちと同じ30名ほどで、それぞれAランクはある魔物の兵士たちだぞ?」

 魔族の弓使いが肩を竦めた。

「つまりここにいる俺たちと同程度の戦力が屠られたってことになるな」

 魔族の盾使いが唸った。

「Sクラスに上がるのは先送りにするか?また別の依頼が来るのを待てばいいのではないか?」

 魔族の槍使いが机を叩いた。

「何を怖気付いている! 次の依頼も! その次の依頼も! この依頼と同レベルのものに違いない! ならば今やっても後でやっても同じではないか!」

 魔族の斧使いが腕を組んだ。

「んがー」


 なるほど、こいつらもあの依頼を受けているのか。
 Aクラスのクエストをこなしている時に彼らとは何度か出くわしたことがあったが、そうか、こいつらと一緒になって行動すれば、依頼もスムーズにこなせるかもしれない。よし。

「よ!」

 割って入ってきた俺に魔族の剣士が真っ先に反応する。

「お前はソロのオガサ」
「話は聞かせてもらったぞ」
「なんだ、お前もあのクエストを受けたのか?」
「ああ、魔王軍の兵士がやられたとあっちゃ、参加せざるを得ないだろう」
「ほう、やはりお前は志が高いな」
「どうも、で、俺もこのクエストを受けたんだが、さすがにソロじゃ時間がかかる」
「・・・・・・時間をかければこなせるような言い方だな」
「事実を言ったまでだ。だが、その時間が惜しい。だからあんたたちに協力させてくれないか?」

 リーダーたちは互いに顔を見合わせる。そして、

「もちろん協力しよう。オガサが来てくれれば心強い」
「よし、そこに座らせてもらうぞ」


 会議は順調に進んだ。

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