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三章『ギア編』
第235話 食っちまいたいくらい可愛い
しおりを挟む「うおぉ、美麗だ!」
「きゃあ」
人混みをかき分けて、これまた背のたけぇ人形の狼が現れた。レイの前まで来ると崇めるようにしてひれ伏す。
「ユーカミ氏、レイラ氏が困っているでござるよ」
「うおお! これは失敬失敬! 俺は美しい女性に目がなくてな! 眼福ぅ!」
「美しいだなんてそんなぁ、へへへ」
レイの奴はまんざらでもねぇ顔してやがる。
「食っちまいたいくらい可愛い!」
ユーカミは口を大きく開いて涎をダラダラと垂らす。
「おっとそこまでだよ、ユーカミ」
またしても新顔だ。多色な鳥人間が気取った羽(腕型)使いでユーカミを制止する。
「ぎぐぐ、すまねぇ、ソルトリ」
「まったくだ。む、君たちは無機物系の魔物と・・・・・・へぇここらじゃ珍しいね、ダークエルフだ」
ソルトリはまじまじとレイを見る。
「彼女はレイラ氏でござる。隣のギア氏の親衛隊を務めているでござるよ」
「ほっほー、それは高名な方だ。私はソルトリ、何かあれば私に言ってください、力になりましょう」
「ありがとうございます、でも大丈夫ですよー」
レイはそう言って俺の方を見る。洗脳の件はソルトリじゃ救えねぇな。
「ロゴリス親衛隊勢揃いでござるな」
ミソゴリラが興奮気味に言った。
「うほ! ナンバー1からナンバー5まで揃うなんて平和って素晴らしいうほ!」
「みんなもファンクラブ会員なんですか?」
ユーカミが胸を張った。
「うおぉん、そうだ、俺がナンバー3、ソルトリがナンバー4、ミソゴリラがナンバー5、5番までが幹部だ、そして」
「親衛隊隊長、ロゴリスファンクラブナンバー1が拙者でござるよ」
九大天王が親衛隊やってるファンクラブってなんだよ。
「ん、そろそろライブの時間だよ」
ソルトリがそう言うと、連中は最前席に移動していく。
「ギア氏たちも来るでござるよ」
「でも場所の予約とかしてませんよ?」
「最前席のチケットを持っていた方が1人死んだから大丈夫でござるよ」
「なんだか縁起悪いんですけどぉ」
「もういい、行くぞ最前席に」
「ええ、なんかやだぁ、ってなんで乗り気なんですか」
「ライブ終わるまでブラギリオンを動かすのは不可能と判断した。なら何事も経験だ楽しもうじゃねぇか」
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