上 下
235 / 1,167
三章『ギア編』

第235話 食っちまいたいくらい可愛い

しおりを挟む


「うおぉ、美麗だ!」
「きゃあ」

 人混みをかき分けて、これまた背のたけぇ人形の狼が現れた。レイの前まで来ると崇めるようにしてひれ伏す。

「ユーカミ氏、レイラ氏が困っているでござるよ」
「うおお! これは失敬失敬! 俺は美しい女性に目がなくてな! 眼福ぅ!」
「美しいだなんてそんなぁ、へへへ」

 レイの奴はまんざらでもねぇ顔してやがる。

「食っちまいたいくらい可愛い!」

 ユーカミは口を大きく開いて涎をダラダラと垂らす。

「おっとそこまでだよ、ユーカミ」

 またしても新顔だ。多色な鳥人間が気取った羽(腕型)使いでユーカミを制止する。

「ぎぐぐ、すまねぇ、ソルトリ」
「まったくだ。む、君たちは無機物系の魔物と・・・・・・へぇここらじゃ珍しいね、ダークエルフだ」

 ソルトリはまじまじとレイを見る。

「彼女はレイラ氏でござる。隣のギア氏の親衛隊を務めているでござるよ」
「ほっほー、それは高名な方だ。私はソルトリ、何かあれば私に言ってください、力になりましょう」
「ありがとうございます、でも大丈夫ですよー」

 レイはそう言って俺の方を見る。洗脳の件はソルトリじゃ救えねぇな。


「ロゴリス親衛隊勢揃いでござるな」

 ミソゴリラが興奮気味に言った。

「うほ! ナンバー1からナンバー5まで揃うなんて平和って素晴らしいうほ!」
「みんなもファンクラブ会員なんですか?」

 ユーカミが胸を張った。

「うおぉん、そうだ、俺がナンバー3、ソルトリがナンバー4、ミソゴリラがナンバー5、5番までが幹部だ、そして」
「親衛隊隊長、ロゴリスファンクラブナンバー1が拙者でござるよ」

 九大天王が親衛隊やってるファンクラブってなんだよ。

「ん、そろそろライブの時間だよ」

 ソルトリがそう言うと、連中は最前席に移動していく。

「ギア氏たちも来るでござるよ」
「でも場所の予約とかしてませんよ?」
「最前席のチケットを持っていた方が1人死んだから大丈夫でござるよ」
「なんだか縁起悪いんですけどぉ」
「もういい、行くぞ最前席に」
「ええ、なんかやだぁ、ってなんで乗り気なんですか」
「ライブ終わるまでブラギリオンを動かすのは不可能と判断した。なら何事も経験だ楽しもうじゃねぇか」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

あなたを、守りたかった

かぜかおる
ファンタジー
アンジェリカは公爵家の娘、隣国の第二王子ローランドと結婚して、この国の王妃になる予定である。 今、公爵家では結婚直前の披露パーティーが行われていた。 しかし、婚約者のローランドが迎えにこない! ひとまずパーティー会場に一人で向かうもののそこにいたのは・・・ スカッとザマァではない 4話目の最後らへんで微グロ注意。

家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~

りう
ファンタジー
「国王から、正式に婚約を破棄する旨の連絡を受けた。 ユーフェミア、お前には二つの選択肢がある。 我が領地の中で、人の通わぬ屋敷にて静かに余生を送るか、我が一族と縁を切り、平民の身に堕ちるか。 ――どちらにしろ、恥を晒して生き続けることには変わりないが」 乙女ゲーの悪役令嬢に転生したユーフェミア。 「はい、では平民になります」 虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

さよなら 大好きな人

小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。 政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。 彼にふさわしい女性になるために努力するほど。 しかし、アーリアのそんな気持ちは、 ある日、第2王子によって踏み躙られることになる…… ※本編は悲恋です。 ※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。 ※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...