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三章『ギア編』
第231話 ハッパかけてくる
しおりを挟む「え、今からですか!?」
工場の外にこじんまりとあるプレハブ小屋でレイは驚いたような声を上げる。
「おう、だから俺の仕事を誰かに任せたりとか、そういった予定の帳尻合わせ、任せたぞ」
「それは・・・・・・うわぁ、何人人員割けばいいんだろ・・・・・・はぁ。それは何とかしますけど、1人で行くんですか?」
「俺の方からは俺一人だけだ、ただ護衛としてアリス様とブラギリオンってのがついてくる」
「なんて豪華な護衛ですか、無限のアリス様とオタクのブラギリオン様だなんて」
二つ名が『オタク』ってどうなんだオイ。
「九大天王が2人以上護衛につくのは魔王様が外出される時くらいなものですよ」
「VIP待遇だな」
「そうですよ! これで死んだら笑いものですよ」
「なんだかな」
「あれ、珍しいですね、やる気ないんですか?」
「そうじゃねぇ、そうじゃねぇが、社会科見学しにいく気分だ」
「社会科見学?」
「いや、これも円滑な仕事のためだからな。勉強は苦手だが学ぶしかねぇ」
「なんだか分かりませんが、それだけ豪華な旅なら安心ですね。こっちはなんとかするので気兼ねなく戦地を体験してください」
そんな感じで引き継ぎは終わり、数時間後、再び玉座の間。
「もう準備は終わったのか」
「ああ(俺は引き継いだだけだけどな)」
「そうか」
「ん? なんだ、言ってこいとか、言わないのか?」
「まだ2人の準備が終わっておらぬ」
「なんだと」
「そう責めるな、準備に1週間は必要と見越していたのだ」
俺も舐められたもんだ。今からだって全軍くれりゃあ、そんなチンケな戦争なんぞより、直に勇者を殺しに行ってきてやるのによ(初日に言った通りにな)。
ま、そういうわけにもいかねぇのは重々承知だ。王国はヤワじゃねぇってことだ。策なくして落とせるなら一万年以上栄えているはずがねぇからな。
この戦いも布石(の布石、そのまた布石の布石・・・・・・って感じなんだろうよ)。
それくらいのことはホネルトンの授業やレイと話してて理解している。
だが早いに越したことはねぇ。俺は出口に向かって歩き出す。
「どこに行くのだ?」
「ちょっくらハッパかけてくる」
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