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三章『ギア編』
第200話 洗脳して働かせればいい
しおりを挟む半年後。
急ピッチで施設建設をしていたため、魔物どもが倒れ始めた。
その報告を聞いた俺とレイは、建設地の端に設置したプレハブ小屋で会議を開いている。
「おいレイ」
「は、はい!」
「魔物ってのは疲れ知らずじゃねぇのか、倒れだしてるぞ」
「魔物も生き物ですからね、疲労もします。というかこのシフト、休みがないじゃないですか」
「魔物はもう少しタフだと思ってたが」
「いやぁ、これは誰でもキツいかと」
「そうか?」
「そうですよ!」
おい机を叩くな、ここのはボロいんだからよ。
「もう少し休みを、ってギアもこういう会議の場では手を止めてくださいよ」
「あん? ああ、悪かったな」
俺は内職していた手を止める。まぁ内職つっても大したもんじゃねぇ、これから作る予定である『拳銃』の模型を作っていただけだ。
「興味本位で聞きますけど、それはなんですか?」
「俺も仕組みは分からねぇが拳銃というやつだ」
「けんじゅう、ですか?」
「ああ、なんつーんだ、まぁ小さな大砲みてぇなもんだな」
「はえー」
「分かってんのか」
「そんなんじゃわかんないです」
「そうかよ。で話を戻すが、疲れてんなら仕事させながら回復さればいいだけの話だろ」
「さも当然のように言わないでください、無茶苦茶です」
「治癒魔法が得意な魔物どもをかき集めて治癒班を作れ、そいつらに現場にいる奴らの治癒をさせるんだ」
「休ませるって考えはないんですね」
「休んでどうするんだ?」
「ひぇ、仕事以外にすることなんていっぱいあるじゃないですか、お休みの日はお出かけしたり」
「そんなことをして何になるんだ」
「リフレッシュですよリフレッシュ!」
「わっけ分かんねぇ」
レイとするこの手の話はいつも平行線だ。ま、レイは異世界の人間だからな、俺のいた世界とは文化が違うんだろう。
「それと肉体を癒しただけじゃ不十分だと思います」
「なんだと、それはどういうことだ」
「精神面ですよ、こんな拷問みたいな労働をこれからもさせ続ければ、いくら屈強な魔物たちといえど精神を病んでしまいます」
「そんな事が起こり得るのか?」
「······ありますよぉ」
異世界のことはホントに分からねぁな。
「ならよ、ほらなんかあっただろ、最近レイが言ってた精神に干渉する魔法」
「催眠魔法ですか?」
「そうだそれだ、それを使って洗脳して働かせればいい」
「······」
レイの奴は俺を見て青ざめた顔をしている。恐怖、しているのか? チィ、感情が読めねぇ(相手の気持ちなんて一度も理解したことねぇし興味もねぇが、こういうときは困るな)。
「治癒班と並行して催眠班も結成しろ、それぞれでチームを組ませて現場を回らせるんだ」
「この人でなし!」
「オラ行ってこい」
「・・・・・・うぅ、わかりました、行ってきます・・・・・・」
レイが出ていく時に「デザート班も作ります」つって、走り出しやがったから、ふん縛ってきっちり命令した。
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