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三章『ギア編』
第147話 社畜転生
しおりを挟む「あ?」
気づけば俺は、どこまでも続く暗闇の中にいた。
いや、暗いからどこまで続いてるなんて分からないんだけどよ。ついに目がイカレちまったのかと思った俺だったが、それを否定するように天からスポットライトのような光が差し込む。
スポットライトの中心に現れたのは······なんだこいつ、人形か?
人の形をした何かは言葉を発した。
「待っていました」
「誰だテメェ」
突然響いた女の声に、俺は苛立ちを隠せなかった。あーくそ、イライラしやがる。ナニモンなんだこいつ。
「テメェとは、とんだ挨拶です」
「ここはどこだ、俺は会社にいたはずだぞ」
「はい、いました。ですから、会社に転生トラックを突っ込ませて、倒壊させていただきました。結論、貴方は死にました」
「転生トラックだぁ? どこの会社だ!」
「会社も何もありません」
「仕事はどうなる!?」
「死んだ後も仕事のことを気にしているのですか? 重度のワーカーホリックです」
「ボケが無駄話してる場合じゃねぇんだよ!」
俺は人形を殴ることにした、1週間寝てないせいで頭がおかしくなっていた、殴って警察にでも捕まったら仕事ができなくなるってのによ。
「ふれるな」
「うぉ!」
俺は見えない何かに突き飛ばされ、激しく吹っ飛んだ。しかしなぜか全く痛くない(傷一つできてねぇ)。起き上がると目の前にくそったれの人形がいた。
「手加減をしたとはいえ、私の神通力で傷一つつかないなんて、なんという精神力です」
「あ? じんつうなんだって?」
「お願いです、私の話を聞いてほしいのです」
「バカが俺が人の話を聞く時はクレーム対応時だけだ!」
「······これ程ですか。魔法の鏡に精神最強と言わしめるだけはあります」
「仕事だ、仕事をさせろ! 朝までに仕上げなきゃならねぇ仕事が残ってんだよ!」
「まぁいいです。どのみちやるしかない状態に追い込めばいいわけです。いいです? よく聞いてください。女神を名乗るものが様々な世界に人間を転生させています。それを止めて欲しいです」
「仕事の依頼は上のもんに言ってくださいいいいい」
「簡単に言えば、勇者を殺してきてほしいです。本命は女神を名乗る者です、ですがそれはとても難しいです。ささ、行ってください。勇者を殺せば元に戻します」
「ふざけんじゃねぇええ」
俺は光に包まれて消えた。
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