61 / 1,167
二章『パテ編』
第61話 大喧嘩祭8
しおりを挟む「それでは決勝戦を開始します! まさかのカードです! 筋骨隆々の戦士でもない男が2人! どちらが勝つか全く予想できません!」
「バーガーさん、でしたよね。よろしくお願いします」
「ああ、いい戦いをしようじゃないか」
どんな手を使ってくる? また毒物か、俺には毒は効かないが、食品に毒物は色々まずい。否否、ハンバーガーの立ち位置でものを考えるな俺!
ハンバーガー目線というわけではないが、俺の勘だと、さきの食中毒もやつの仕業だ。ちょっと揺さぶってやるか、よく叔父さんの名に懸ける人のように。
「食中毒事件の犯人はカルボさん、貴方ですね」
「おやおや、どうしてそう思いますか?」
「貴方はまだ食中毒の発生原因が特定されていないのにも関わらず『お茶を飲んでいない貴女たち』と言った」
「それはお茶を口にしている人が多かったからそう推理しただけの事ですよ。貴方、冤罪で人の人生を台無しにするつもりですか?」
「じゃあ違うのかもな! くそが! ぶっ飛ばしてやる!」
「ほっほー!」
「決勝戦開始ぃいいい!」
俺の決勝の具材(メニュー)はトーナメントの時の物にプラスして、蜥蜴魔法使(リザードウィザード)いの鱗を10枚挟んでいる。明らかに挟みすぎだ、これでは機敏に動くことはできない、しかし機動力を犠牲に俺は固定砲台となることができた。火(ファイヤー)の玉(ボール)を30発撃つことができるのだ!
「『火(ファイヤー)の玉(ボール)』」
様子見の火(ファイヤー)の玉(ボール)だ、どう受ける?
カルボはどこから取り出したのか、白い杖を使い火(ファイヤー)の玉(ボール)を叩いて起動をずらして回避した。あれ、この人普通に強いのか。なら手加減入らないか、いちよ蘇生魔法使えるし。
「『火火火火火火火火(ファファファファファファファファイヤー)の玉(ボール)』」
「!?」
これぞ必殺、機関銃火(ガトリングファイヤー)の玉(ボール)だ! 女神の声が魔法を放つ度にリセットされる、そういう玩具みたいになっていて少し面白い。カルボはこれを横に走りながら、それでも交わせないものは杖で弾いて対処している。もっとやったれ!
「『火火火火火火火火(ファファファファファファファファイヤー)の玉(ボール)』」
面白い! 〇ぇボタンの玩具を思い出すな! カルボにはまだ被弾していない! 残り全てを使い切るぜええええ!
「『火(ファ)火(ファ)火(ファ)火(ファ)火(ファ)火(ファ)火(ファ)火(ファ)火(ファ)火(ファ)火(ファ)火(ファ)火(ファイヤー)の玉(ボール)』」
「ぐああーーッ!!」
よし! 数発命中した
1発でも当たれば火だるまになる威力なので決着が着き次第、ジゼルが水魔法をぶっかける手はずになっている。さて香ばしい匂いを撒き散らすがいい!
そうだ今のうちに使い終わった蜥蜴魔法使(リザードウィザード)いの鱗を吐き出さないと、俺はぷぷぷぷと、スイカの種を吐き出すように鱗を吐き出す(もちろん鱗の方が断然大きい)。
「ふぅ、なんちゃって。さっきのは見たことがない技ですね。いやはや、決勝まで技を温存していたというわけですか?」
煙が晴れるとカルボはその場に立ち続けている。埃を払って優雅と佇んでいる。確かに直撃したはずだ! なぜ燃えない。やはりグミ撃ちダメなのか?
「どういうことだ? って顔してますね。でも教えませんよ」
「ふん、トリックだ。魔法がダメなら、接近戦だ!」
俺は短剣をしっかり咥えてカルボに襲いかかる。蜥蜴たちと戦った時のようにフットワークを活かして翻弄する。
「目障りな動きですね」
カルボは俺の突進刺突を、木の葉のようにヒラリと回避する。細身なせいか、器用に避けるな。ならば隙を見せる。俺はあえて真正面から突っ込んだ。カルボからすれば回避しにくいうえに反撃しやすい位置だ。カルボは横薙ぎに杖を振るう。俺は予め唱えると決めていた魔法を唱えた。
「『硬化(ハードニング)』」
普通なら具材がばらまかれる威力の攻撃だが、今の俺は石のように硬くなっている。
バンズを操作して重心を下にする。球は芯を捕らえないと飛ばないからな、俺は試合場から叩き出されるのを回避した。着地する前に俺は魔法を唱える。
「『激怒(レイド)の力(フォース)』」
めっちゃムカつく!
蚊に指の関節部分の血をピンポイントに吸われたことを思い出した。くっ、夏の日の死闘が鮮明に脳裏に!
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
あなたを、守りたかった
かぜかおる
ファンタジー
アンジェリカは公爵家の娘、隣国の第二王子ローランドと結婚して、この国の王妃になる予定である。
今、公爵家では結婚直前の披露パーティーが行われていた。
しかし、婚約者のローランドが迎えにこない!
ひとまずパーティー会場に一人で向かうもののそこにいたのは・・・
スカッとザマァではない
4話目の最後らへんで微グロ注意。
家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~
りう
ファンタジー
「国王から、正式に婚約を破棄する旨の連絡を受けた。
ユーフェミア、お前には二つの選択肢がある。
我が領地の中で、人の通わぬ屋敷にて静かに余生を送るか、我が一族と縁を切り、平民の身に堕ちるか。
――どちらにしろ、恥を晒して生き続けることには変わりないが」
乙女ゲーの悪役令嬢に転生したユーフェミア。
「はい、では平民になります」
虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
さよなら 大好きな人
小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。
政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。
彼にふさわしい女性になるために努力するほど。
しかし、アーリアのそんな気持ちは、
ある日、第2王子によって踏み躙られることになる……
※本編は悲恋です。
※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。
※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる