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二章『パテ編』

第30話 キラー飯

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「ぐ、にゃんだこれは······」
「まさか、これほどとは」
「バガガガガガッ」

 俺たち3人は、アイナに追い詰められていた。テーブルには皿に盛られた料理のようなものが無残にも並べられている。これはモザイク必須だろう。

「どうですか? おかわりはまだありますけど」
「くっ!」

 万能エルフかと思いきや、アイナはメシマズ属性持ちだったのだ。

 料理上手のエリノアに負けじと、その日の夜にアイナが料理をしだすと言い出した。俺もアイナの料理を挟んでみたことがなかったので、興味本位で承諾してしまった。

「これは食えたもんじゃにゃいにゃ」
「拷問に使えそう」

 2人の素直な意見にアイナは肩を落とす。やっぱりと呟いて悲しそうにしている。

「料理は習わなかったのか?」
「もちろん習いました。習いましたが、全く上達しませんでした」

 人には得意不得意があるもんな。決してアイナの努力が足りないわけではない。弓術や馬術なんかは他の追従を許さないほどだからな。どんなに頑張ってもできないことはあるのだ。ならば俺はどうする、決まっているこのアートを挟むだけだ。

「あむっ! がりっぎゃギャッ!」
「バーガー様! 何を! やめてください魔法陣を傷つけてしまいます!」
「大丈夫だ、問題ない」

 俺はそのままでは辛すぎるので、気晴らしに解析を開始することにした。『エラー、エラー、検出······で、きませ、ん。エラー······』おかしなことになってる! どうすればいい、そうだ!

「ふんふんふんふんふんふんふんふん!」

 俺はひたすらに動き回る、部屋の中を飛んだり跳ねたり、スーパーボールのように、とにかく動き回る。挟んだ固形物の魔力をカラッカラになるまで吸収して使い切る。

 石ころ程度まで小さくなった石炭を皿の上に吐き出して、エリノアやジゼルの分まで俺は次々に挟む。そしてがむしゃらに動く。

 最後には皿の上に数個の石炭が並ぶだけ。アイナは口元を抑えて涙ぐんでいる。

「バーガーは本物の勇者だにゃ」
「マジでスゲー、素直に尊敬」

 2人から熱いの眼差しを受ける、俺は心地よい達成感に包まれてこう言った。

「······薬草を······挟んでください······お願いします」

魔力切れだ。

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