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一章『レタス編』
第12話 アイナ・フォルシウス
しおりを挟む「バーガーさま」
玄関を出ると、緑色の髪にとんがった耳、そして大きな目を持つ愛らしい生物が出迎えてくれた。アイナだ。俺のちょっとしたグラムの変化よりも彼女の成長の方が何倍もわかりやすい。
「様ってのは、なんだか、変な感じがするな」
「でも、おかあさんが、そうよびなさいって」
「そっか、呼び方なんてなんでもいいか、よし、遊びに行こう」
「うんっ!」
最近、俺はアイナとよく遊ぶ、もう拾い食いをしたりしないので、近所の原っぱで駆けっこや、花を摘んだりして遊んでいる。なんとも平和な日々だ。しかし、今日のアイナの装備にはあるものが追加されている。
「それって弓?」
「うん、もう5さいだから、もちなさいって」
そうか、ルフレオから聞いた話によれば、エルフ属は弓矢の扱いに長けている種族だったな。あと草木にも詳しい。森の狩人といったところか。
「わたし、バーガーさま、たべちゃったから、つよくなってバーガーさまに、つかえなさいって」
「もう解決した話なんだけどな、気にしなくていいよ。無理してやる事じゃないし」
「ううん、わたしもやりたい!」
「そっか、じゃあ練習しないとな。強くならないと勇者パーティには参加できないぞ!」
「うん!」
こうしてアイナのレベリングが開始した。
気に綴りつけりた、三重丸の中心にピンボール程の丸が描かれた的に、アイナは矢を放つ。小さなオモチャの弓矢だが、矢尻は大人が使うものと遜色ない鋭さを持っている。こんなものを5歳児に持たせて大丈夫なのだろうか。
「ビューティフォー」
距離が近いとはいえ、今のところ全弾命中している。しかも中心の丸に寸分違わず。この子、弓矢の才能あるわ。
「凄いじゃないか、勇者である俺にも(物理的に)無理だ」
「えへへ、バーガーさまにはないしょで、おうちでれんしゅうしてたの」
トゥクン······、ハニカミ、エルフ、スマイル、略してHES。なにこれ、バンズの中心が熱くなるこの感じ、これって······まさか恋? 否否、俺は決してロリコンではない『YESロリータNOタッチ』という格言もあるくらいだ。ロリエルフとは友好条約を結んだままでいたい。
「へー、俺も負けれられないなー」
「バーガーさま、なんかへんだよ?」
「そ、そんなことないよー、ほら次は駆けっこだ。走りなら負けないぞー!」
「わーい!」
俺は血眼でアイナを追いかけた。
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