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六章『ピクルス編』
第1148話 女神タイム
しおりを挟む「……ここが、女神の住処かぁ」
イズクンゾは白に覆い尽くされた場所に超転移した。当たりを見渡す、人がいた、否、人型の何かがいた。
イズクンゾにはそれが何か理解出来た、あれこそが世界を作った絶対神、全知全能の無敵の、
「女神かぁ?」
無粋な質問をしたことに気づいたイズクンゾは、ハッとしてその上がった口角をさらに歪ませる。尻込みしている自分に驚きを隠せなかった。あの恐るべき筋肉の化物と対峙したときで、さえこんな感情は抱かなかった。
女神から反応はない。
「ギャハハ、そうだよなぁ! 俺様は挑戦者(チャレンジャー)だぜ! 物怖じくらいするぜ! しかしそれもこれまでだ!」
イズクンゾの身体がムキムキになっていく。
「岳人に鍛えられたこの身体は、万物最強の強度を誇るに至った。加えてその特殊能力の数は数えるのすら馬鹿らしくなるほどまでに増大した、ふ、今の俺様は全てが思うままなんだぜ!」
女神から反応はない。
「あの八百万の神とか、外なる神を作ったのも女神だろう? 神の中の神、いや唯一神、他の神は所詮神を名乗るだけの贋作、劣化コピーというのも烏滸がましいぜ!」
女神から反応はない。
「しかしだ、今の俺様なら、女神を食うだけのパワーがある! お前を食って俺様が神を超えた王になるぜ!」
女神から反応はない。
「神を超えた王、神王! 神大魔王! なんていい響きなんだぜ! じゃあ早速頭から頂くぜ!!」
イズクンゾが飛びかかる、女神が苛立った様子で目も合わせずに言った。
「なんじゃうるさいな! テレビは置いてないのじゃ! 受信料は絶対に払わないぞ!」
『パチンッ』
「ギャアアアアアア!!?」
女神の指パッチンを受けたイズクンゾが弾けた、一本だけになった漆黒線状魔力のみとなる。
「ば、バカなーー!!」
「宗教の勧誘も結構ですと言ってるじゃろう!」
「ぐええーー!!」
グリグリと踏まれる。
「息子もおらん! 交通事故で示談金なんぞもってのほかじゃ! ていうかそれ詐欺じゃろ! 引っかからんぞ! 余は詳しいんじゃ!」
「ギャア!! ギャア!!」
ドンドンと踏む。
「ち、違う、俺様は俺様だ!」
「なんじゃ? 違うのか、うわなんじゃこいつ」
小さくなったイズクンゾをつまみ上げる。イズクンゾは全権能があの指パッチン一発だけで剥がされたことを理解した。もちろん能力を奪われたり無効化されたりすることに対しての耐性も無数に施してあり万全のコンディションだった、たとえ無効化を無効化するといった、そういうものが無限に繰り返されようとイズクンゾの特殊能力の数々は止められない代物だった。スキル一つだけでラスボスを張れるほどに強力無比だった。
それをほんの一発の指パッチンで剥がされた。
「なんて虫じゃ? どうやって入ってきた? んー? あ!」
逆さに持つと上下に振った。
「やべろやべで! でる! ながみが!!」
「ほれほれ出せ出せ!」
「ぐええ!!」
吐いた、吐瀉物は煌めいており、吐かれてすぐに霧散していく。
「ああああああああ!! 俺様の!! 全部俺様のものなのに!!」
「お!おったおった」
女神が一欠片の羊羹を拾う。
「お主の力か、スーよ」
羊羹は人型になる、不滅龍、スーサイドドラゴンが現れた。
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