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六章『ピクルス編』

第1135話 ちん〇

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 ーー俺は自分の体を『触る』

 ーー自分の腕で体を触って確認する、全身を触る、顔も触る。

 いつも見上げていたアイナたちが俺を見上げている。ジゼルが氷の鏡を作って俺を映してくれた。そこには、


 現代の俺がいた。
 全裸だ、正装(ぜんら)だ。筋肉というタキシードをピッチリと着こなしている。

 信じられないと感じるよりも、この体が目を覚まさせてくれる。これ以上ない説得力(きんにく)だ。頭がハッキリと覚醒する。身体が、この世界全てを理解させる、全ての感覚が研ぎ澄まされ、原子一つの動きすら容易く把握する。

 そんな筋肉たちは俺の命令(ごうれい)を待って、静寂を保っている。

 鍛えられた髪だって逆だっている。
 胸筋を撫で下ろす。おおぅ、いえす。あーしー。

「ふぅ……おぅふ、うぅ、ふぅ……」

 この高揚感、紛れもない、この身体は本物だ|魂の完全実体化(マテリアライズパーフェクトソウル)のような脆弱な顕現ではなく、完全な俺だった。

「おいバーガー、それがお前の本当の姿なのか」
「ああ、もう『大丈夫』だ」
「何言ってやがる、あいつはまだ生きてるぞ」
「いいからいいから俺がやるから、皆はそこで寛いでてくれ、本当に世話になった」
「バーガー様……」
「あ、アイナ」

 この身体に恥ずかしいところなんて微塵もないが、ハンバーガーの愛らしい姿からは逸脱してしまっている。全てお見通しとはいえ、可愛いアバターの中身が筋肉だった、それはネカマじみた凶行だ。

 でもまずは、

「食べてくれてありがとう」
「すごく美味しかったです! でも私だけで食べちゃったので次はみんなで!」

 上目遣いで少し緊張している様子のアイナだ、赤面して時折俺の下半身を見ている、足腰の筋肉が気にいったのかな?

「どの部位の筋肉に見惚れているんだい? 言ってごらん」
「い、いえ、その、ほら、そこ……」

エリノアが代わりに言った。

「ちん〇隠しにゃさいよ! ちん〇! にゃんで〇んこ出してるの!」
「そうか! こっちの世界ではそうか!」
「俺たちの世界でもだバカが」

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