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六章『ピクルス編』

第1134話 完食

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「バカが、クソバカが」

 ギアの罵倒をエリノアが止めた。

「静かに」
「クソネコが、これが黙っていられるかよ」
「クソネ……ミーはエリノアだってば、アイナのあの顔を見るんだよ、とても幸せそうだよ」
「あいつが幸せそうならなんなんだ、公私混同しやがって、こいつら狂ってるな、クソバカどもはほっといて仕事するぞ」
「それも待つんだよ」
「(な)んだようるせぇな、さすがにこれ以上邪魔すんならーー」
「見て」

 指さされたアイナの体が光出している。

 一口、二口、食は進む、頬張り目尻が垂れる。
 もぐもぐとゆっくりと咀嚼する。

 パテの上質な油、レタスのシャキシャキ感、トマトの酸味、それと合わさるチーズ。そしてアクセントになるピクルス。抜群のハーモニーだ。それはまさに1つの生物、進化の過程で無駄が削ぎ落とされていくように、このハンバーガーは進化の極みに達したのだ。

不思議と痛みはない、恐怖もない、意識も鮮明だ。正しい手順で食べられている、否、食べ方に正解などない。どんな三日坊主だって飯は食う、生き物は食事のプロなんだ。美味しそうに食べてくれていることが嬉しい。|ハンバーガ(もうひとりのおれ)も幸せそうだ。

「美味しい……」

 ほうっとため息をつく。その様子を見たギア以外がゴクリと喉を鳴らす。

「殺りやがった、バーガーを完食しやがったぞ、それにあの輝きはなんだ?」

 アイナが言った。

「『解析完了』」
「バーガーが魔法を使う時の声と同(おにゃ)じ声がするよ!」
「『バーガー・グリルガードから番重岳人(バンジュウガクト)を検出、1回使用可能』」















「バーガー様、この世界を救ってください『番重岳人(バンジュウガクト)』」

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