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六章『ピクルス編』

第1089話 邪悪の魔人21

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『ビルディー……そこにいたとはね』

 珍しくパロムのトーンが低い。

『来るのは知っていたよ、魔王様の予知があったからね』

 この方がドワーフの神様。創造神ビルディー様か。腕が6本に建築道具? ハンマー、釘、ロープ、ノコギリなんかを持ってる。象のような仮面を被っているせいで表情までは見えない。あとちょっと浮いてる。

『そのボディを改造したのはビルディーだったね。かつての記録では『建設期』になったビルディーは魔力が尽きるまで創るのをやめなくて、作り終えれば作品に囲まれて休止モードになっていたという、チョウホウ街で休止モードになった時も自分で創った『球体に入って休止モードになっていた』ね』

 なるほどキラーキラーは丸っこいからゆりかごにはちょうどよかったって訳か。

『しかしシスターズ戦でもスカリーチェ戦でも出てこなかった結構ピンチだったはずなのにね。ふむギアの魔力に引っ張られて起きたのかな、神クラスの行動は完全には予知できない、それは魔王様の力ではなく所詮は老いた人間のスキルを使っているからだね』

 ジゼルは反論しない、話すだけ無駄だと分かっているし俺たちはあいつを絶対に倒すとすでに心で誓っているからだ。

「ビルディー様、俺たちに力を貸してください」
「バーガー。ビルディー様は膨大な魔力に反応して起きただけ。前に会った時もコミュニケーションは取れなかった」

 魔力か、ジゼルの言う通りなら。

「ギア、魔力をビルディー様にわけてくれないか?」
「どうしてだ?」
「ビルディー様は創る時にしか出てこない、俺たちから魔力をもらえると思っているんだ」
「人だよりかよ、それに何を創るか知らねぇぞ、こいつは中立というより自己中だろ」
「でもやるしかないだろ?」
「それもそうだなほらよ」

 ギアが何気なく放出した魔力はとんでもない量だった。

「お、おい、さすがにあげすぎだろ」
「こんなの大したことねぇ」
「マジかよ」

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