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六章『ピクルス編』
第992話 パワーアップ
しおりを挟む「おいコラ、俺抜きで話を進めるんじゃねぇ。脳みそねぇ奴らばかりが勝手に話を進めんな」
ギアだって歯車じゃないか。
「手っ取り早くていい話をしてやがったな。仕事っての納期で駆り立てられるものだからな」
「うむ、ではソレガシらの軍がお主たちを戦場へと運ぼう」
「まて」
「どうした」
「捕虜の始末をつける」
まさか。
「こいつらを魔王のところに連れて行く意味もねぇし、むしろ戦場に連れて行ってまた暴れられたら手に負えねぇ」
オディットが立ち上がり言った。
「待ちなさい。なら解放でいいでしょう」
「ダメだな、レイならもっと上手く俺を説得するんだがな」
「レイってどなたですか?」
「ちぃ、なんでもねぇ、荷物の運搬が終わる前に殺す」
「待った!」
「なんだクソ猫」
「ク……ミーはエリノアだよ!」
「贅沢な名前だなてめぇ、エリかノアにしやがれ」
「エリーって呼ぶのは私だけの特権」
「今度はラッパーか、用がねぇならさっさと馬車に乗れ、こっちは取り込み中だ」
「そうもいかにゃいよ!」
「エリーにいい考えがある」
「なんだ、言ってみろ」
「その子たちの漆黒線状魔力をミーが奪うよ」
「な!?」
姉妹たちが絶句している。
アヴドキアが怒鳴った。
「エリノア!! わかって言ってやがりますか!? この魔力が無かったらヤーたちは魔王になれねぇです!!」
「ちょっと黙っててね、ミーは皆の命の方が大事だよ」
「それを取れば無力化できるってのか」
「無力化って程じゃないけど、ミーもパワーアップするし、にゃんにゃらミーだけでこの子たちを抑えられるようににゃるよ」
「俺はお前も信用してねぇからな」
「う、戦力は大いに越したことないはずだよ」
「それもそうだな、わかった、すぐに済ませろ」
切り替え早いな。
「ありがとう」
「例は要らねぇ、いいプレゼンをしたな」
ギアはポラニアたちの方に飛んで行った。
「余計な真似をしてくれやがりましたね」
アヴドキアが恨めしそうにエリノアを睨んでいる。
「こうするしかにゃかったんだよ。それにこの戦いが終われば返すよ。ミーは魔王なんて興味にゃいしね。死んだら魔王ににゃれにゃいっていい加減肝に銘じておくといいよ」
エリノアは縛られているアヴドキアに手を当てる。
するとアヴドキアの体を這うようにして漆黒線状魔力が移動を始めた。
「くすぐってぇです!!」
「動かにゃいの」
「う、うぅ……」
こうして全員の漆黒線状魔力を吸収した。
立ち上がったエリノアがよろめく。ジゼルが肩を貸した。
「大丈夫?」
「うん、食べすぎた時と同(おにゃ)じだよ、戦いまでには慣(にゃ)らすよ」
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