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六章『ピクルス編』

第934話 悪愛の魔女15

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「クスクス。こんなもの無くてもいいんスけど、折角なんで使わせてもらうっスよ」
「水中でも喋れるとはな」

 槍の持ち主は、魚のように水中で呼吸ができて、さらに話すこともできるようになるのか。

 しかしここまでは魔力操作に長けたものなら出来る芸当だ。

「ほいほいっス」

 スカリーチェが三又槍(トライデント)を振るうと、いくつもの海水の柱が飛び出し横に突き刺さっていく。

 どんどん出てくる。はるか上まで。

 サガオが構え直す。

「見失うなよ」
「無論だ、レーダーに捉えている。他人の心配をしてる暇があるなら打開策を考えろ」

 スカリーチェの姿が消えた。

「ギア!」
「後ろか」

 ギアの背後の海柱の中にスカリーチェが出現する。高速移動というわけじゃない。消えて現れた。

「海流流奥義、三又無双連撃」

 無数の突きが繰り出される。三又槍(トライデント)には鋭利な海水がまとわりただでさえあるリーチーをさらに伸ばしている。

 ギアは尻尾で防御する。そしてKILLソードを振るう。
 しかしそれはかすりもしない、また消えたんだ。

「このレーダーの反応からすると、海中で瞬間移動(テレポート)しているな」
「そういうことっス」

 元の場所に戻ったスカリーチェが言う。

「じゃあ次行くっスよ。深(ディープ)い海(シー)」

 特に何も起きない。なんだ?なんの魔法だ?
 ディザスターが叫んだ。

「海側からの水圧が上昇。形状を維持できない」
「なに!?」
「クスクス、海に潰されてしまえっス」

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