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六章『ピクルス編』

第921話 胎動4

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 連れていかれた魔王城で、入念な治癒魔法を掛けてもらい。何重にも掛かっていた病気と無数の怪我を完治させてもらったっス。

 私は初めて人として扱われたっス。暖かい手の込んだ料理、機能を果たす服、雨風しのげる清潔な住居。
 それだけじゃないっス。パロムによる魔法の英才教育、ブラギリオンからは戦いの極意を学んだんス。

 そしてそれどころか同胞として認めて四天王という地位までくれたっス。

 その途中で私を忌み子として扱った村を焼きに行ったっス。全員殺さずに捕まえて、パロムに献上したっス。

 それから5年っス。私も少女から大人になったっス。
 そして大人になった日、私は勇気をだしてイズクンゾ様の寝室に行ったんでス。こんな穢れた体で厚かましいと震えたもんス。でもイズクンゾ様は気にせずに部屋に入れてくださり優しく抱いてくれたっス。じゅるり。

 ベッドの中でイズクンゾは全てを教えてくれたっス。





「ぜーんぶ俺様のせいなんだぜ」






 頭が真っ白になったっス。

「お前は元々な、王国の貴族の家に生まれた子供なんだよ。それを生まれたその日に攫ってきてよ、この遠い魔界に連れてきたんだ。あの村の人間どもは俺様が脅してああいう仕打ちをするようにさせていたんだぜ。あいつらは善人だった」
「どうしてでスか?」
「え……なんでだっけ?」

 イズクンゾ様は本当に分からなかったといったふうに悩んだ後、笑ってこう言ったっス。

「この話を聞いたお前が怒り狂って俺様を殺そうとするだろ? それを踊り食いしたかっただけだったかな?」

 イズクンゾ様は私が跨っている状態でそう言いました。首元を指さして無防備に続けたっス。

「ほら来い。メインディッシュ」

 あの時の状況だけで判断すれば勝機は完全に私にあったっス。

 でもそれは偽りだったっス。部屋の前にはブラギリオンが控えていました。私が魔法を使おうとした瞬間に斬り殺すと言うシナリオを後から知ったっス。

 もちろんそれは無駄に終わったっスけどね。
 私は目一杯の力でイズクンゾ様に抱きついたっス。

「お慕いしておりまス! どうぞこの体、余す所なくご堪能下さいませ!」

 流石のイズクンゾ様もその時ばかりは目を丸くしていたっス。初めて見るその顔も愛おしかったっス。私だけが見たイズクンゾ様の違う一面。それだけで私は何度も絶頂を迎えたのを覚えてるっス。

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