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六章『ピクルス編』
第919話 胎動2
しおりを挟むその虫は特殊個体で、魔力を多く持つ生物を集めている様でした。先客に鹿が麻痺した状態でいました。鹿と言っても3メートルくらいの大鹿で私と同じで魔力量が多い個体だったっスね。
それでどうなるかって言うと。まず虫は形状を変化させて大鹿に覆い被さって包み込むんスよ。まるで繭のような状態っス。
それから生きたまま同化するんス。瀕死だったはずの大鹿がその時ばかりは叫び声を上げていたのをよく覚えてるっス。
栄養は補給され続けるみたいで死ねずに。ゆっくりと同化していく。痛いだろうけど死ねない状態っス
。
半透明な繭の中で何日も掛けて大鹿が別の生き物に変わっていく様を麻痺して動けない私はじーっと見てたっス。
それで同化が完全に終わるとまた芋虫状の大虫になって出てくるんス。
それで生きているのは虫と私だけになったわけっス。
次は私の番だと、大虫の体についている、大鹿のぎょろぎょろと動く血走った目を見たときに悟ったっスね。
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