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六章『ピクルス編』

第904話 海底神殿攻略戦20

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 エリノアはもう大丈夫だ。
 クラーケン様もお疲れになられたのかぐったりとしている。聖騎士たちもそれなりに怪我してるが命に別状はなさそうだ。

 聖騎士の一人が言った。

「バーガー様、ここはもう大丈夫かと」
「そうだな。他のところの援護に向かうか」

 この透明ドームに続く通路は一本しかないからな。ぐったりとしたクラーケン様を置いていくのはなんだか可愛そうだが、俺たちは来た道を引き返すべきだろう。

「ジゼルたちはそこにいるか?」
「ううん。私たちも行く」
「そうか、でもジゼルとエリノアは疲弊しているから後ろから着いてくるんだ」

 エリノアが折れずの剣を拾いバツが悪そうに呟いた。

「バーガー、ごめんにゃさい」
「エリノアにも事情があったんだし。帰ってきてくれればそれでいいんだ。王国に帰ったら俺が守ってやる。エリノアは悪くないってな!」
「バーガー……ぐす」

 泣くエリノアの肩をジゼルが抱いた。

「エリー泣かない」
「うん……うん」

 エリノアはゴシゴシと目をこする。目のあたりが赤くなっているが涙は止まった。

「ミーはまだまだ戦えるよ! 最前列に行くよ!」
「ああは言ったが正直隣にいてくれると心強いよ」

 いざ行かんとした所で通路先を見ていた聖騎士が叫んだ。

「バーガー様! 通路から何者かたちが」
「あれは……ディザスターたちか!」

 俺たちより早く戦いが終わったらしい。さすがは九大天王だ!

 と、思っているとジゼルが警戒した声で呟いた。

「バーガー、雰囲気が違う」
「そうか?  みんな無事そうだぞ?」
「にゃ……あいつは!」
「エリノアどうした!」
「バーガー! 早く隊列を作らせるんだ!」
「わ、わかった! 聖騎士たち! 臨戦態勢!」

 聖騎士たちは元々隊形を組んでいたため、すぐに隊列を整える。

 ディザスターの肩に乗る女子が叫んだ。

「エリノア! 裏切りやがりましたね!」
「アヴドキア……!」

 あの子は確か、俺たちを島に運んでくれた魔物使いの子か!

「アヴドキアはミーの腹違いの姉妹だよ」

 あんなに街に馴染んでいたのに。

「つまりイズクンゾの娘というわけか。それでなんでディザスターたちはアヴドキアと一緒にいるんだ?まさか裏切ったのか?」
「違うよ。ディザスターたちは運が悪かったんだ、アヴドキアは魔物使いだよ」
「まさか」
「魔物は全てはアヴドキアに支配されてしまうんだ!」

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