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六章『ピクルス編』

第900話 海底神殿攻略戦16

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 同時刻。海底神殿の一角。ギア&ポラニアチーム。

「あれポメ!」

 空飛ぶギアの背中に乗っているポラニアが通路の奥にいる人影を指さした。もう少しで広場だというところでだ。

 つまりそこにいるのは敵だ。

「あいつを始末すればいいんだな、ん?」

 ギアは飛んできたレーザーを回避する。
 構わず続けた。

「挨拶もなしとは話が省けていい」
「止まりなさい」
「なんだよ結局話すのかよ」
「今のは威嚇射撃よ、次は当てるわ」
「威嚇射撃だ?」
「ジュはオディット・ダークロード」
「やっぱりだポメ!」
「なんだ?」
「レーザーの魔力反応を解析したポメ! そしたらイズクンゾの魔力反応と同じものだったポメ!」
「つまりなんだ?」
「なんだなんだと五月蝿いですね。ジュから言いましょう」
「本人の口から説明してくれんなら世話ねぇな、おいジュとっとと答えろ」
「ジュはジュではありません」
「あ? ジュ、ジュっていってるじゃねぇか」
「ジュはオディット・ダークロード。ジュは一人称です」
「……やっぱりこいつ好かねぇ」
「話を戻します。もし時間稼ぎされていたとしても嬉しいのはそちらでしょうから構いませんね」
「どうだかな。言っとくがこれは交渉じゃねぇ。俺はクライアント以外の要求は一切飲まねぇからな」
「構いません。世間話ですので」
「世間話? ここの神を狙いに来たんじゃねぇのか。仕事しろよ」
「それは他の姉妹が済ませるでしょう」
「チッ、サボりかよ」

 オディットがゆっくりと語りだした。

「ジュはオディット・ダークロード」
「それはさっき聞いたぞ」
「次、水を指したら攻撃します」
「ギア、黙ってるポメ!」
「ああ?ポラニアまで向こうの肩持つのかよ」
「……この二人とにかく噛み合わないポメ……いいから黙ってるポメ」
「こほん、ジュはオディット・ダークロード。イズクンゾの娘にして次期魔王候補」
「魔王の娘か」
「はい、人魚の母と魔人の父を持つ、所謂ハイブリッドです」
「サラブレッド的なやつか」
「言うならば魔人魚、でしょうか」
「人魚って足が魚なんじゃねぇのか」
「ジュは魔人魚ですから、これが魔人魚の正当なる姿になります。ジュしかいませんけど」
「オリジナルか、で、話は終わりか?」
「よく聞いてください。お父様には絶対に敵いません」
「それがどうした」
「ですから、全員こちらの軍門に下ってください」
「おいこら要求は飲まねぇって言ってんだろうが、ダメだ」
「どうしてですか?」
「そんな話の次元じゃねぇんだよ。取引先を裏切った会社がどうなるか教えてやらねぇとならねぇんだ」
「話は出来ないと?ここの神を使って何をするかも知らないで?」
「それは興味あるポメ」
「別にジュは戦争なんてしたくないんです。他の子たちは血気盛んですけれど、ですからもうお父様の勝ちは揺るがないので、話だけでも聞きませんか? 暇なので」
「サボってるやつが暇とはな。まあ他社の話だ、なんでもいい、それでここの神を使って何をしようとしてるんだ?」
「ここの神だけだはありません、お父様は神全てを喰らい真の神になろうとしているのです」
「真の神か、我儘そうなあいつがしそうなことだ」
「そして既にほとんどの神を手中に収めています。この世でお父様に対抗出来る神はもう時期いなくなります」
「なら尚更だな。もういい、オディットをぶっ倒して他の奴らの援護に向かう」
「やはりそうなりますか。ですか時間稼ぎは終わりました」
「なんだと」
「ジュは魔王様の魔王砲を受け継いでいます」

オディットは包帯で隠されていた片目をさらけ出す。その眼球は宝石のようになっている。

「解析完了です。貴方の魔力はジュには効きませーー」
「ギア!解析終わったポメ!」
「よし」
「え?」

 そう、会話を、開始した直後からオディットとポラニアは同時に互いの魔力を解析していたのだ。魔力を解析すれば相手の弱点となる魔力の性質、動きが分かり、上手く行けば魔法を無力化することができるのだ。

「いい仕事だポラニア」
「ポメ!」
「なんとでも言いなさい。水晶魔王砲!」
「魔力大放出(マジックフルバースト)」

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