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六章『ピクルス編』
第852話 原初の魔人
しおりを挟む机を囲むは人型になったサガオ、ヒマリ、そして王さまだ。俺は机の上だ。
机には世界地図が広げられている。
「現在イズクンゾと四天王とその他配下全ての居所が掴めていませーん」
「みたいだな」
「私が思うに彼らは用意をしていると思いまーす」
「用意?」
「はーい。この世界を手にするための用意でーす」
「なんでそんなことが分かるんだ?」
「それにはまずイズクンゾの話をしておく必要がありまーすね。バーガーが知っているイズクンゾの事を教えてくださーい」
「旧魔王ということしか知らないな」
「おーけー。彼は初代魔王であり原初の魔人、名をイズクンゾ・ダークロード。詳しい出生は不明でーすが、神々の戦いの時代から存在している神話の中の魔人といえまーす」
「随分長生きなやつだ」
「魔族の中の魔族。彼こそが今の魔族たちの性質の基礎を作ったと言えまーす」
「原点にして頂点というやつか」
確かにあのスカリーチェの心酔ぷっりは凄かった。それで一回殺されたもんな。カリスマ性があるのだろう。
「イズクンゾの目的は世界征服。世界を自分のものにしたいという願望が彼の行動力の源となっているようでーす」
典型的な絵に描いたような悪だな。あ、だから原初なのか。悪の王道なんだ。
「そしてこれまでの話ですが、どうやら全てイズクンゾが仕組んだことだったらしいのでーす」
その事については俺も思い当たる節があった。
「あいつは勇者が魔王を倒すのを知ってたんだ」
「そうでーす。だからこの100年間『あえてネスに魔王の座を明け渡した』。もしかするとネスが魔王になろうと思った切っ掛けもイズクンゾが仕組んだものだったのかもしれませーん」
「勇者と邪魔だったネスの排除」
「排除とはまた違いまーす。ネスは取り込まれたのでーす」
「取り込む?」
「イズクンゾの特性は捕食したものの力を全て奪えるというものでーす」
「それってネスの力とスーの力を吸収したってことか」
「その通りでーす。しかし直ぐには力を制御できなかったのでしょーう」
「ああ、あのときイズクンゾは胃もたれしてそうだった」
「だからこそのこの準備期間なのでーす。隠れて神の力を馴染ませているとすれば、この不気味な静けさにも納得がいきまーす」
「全てはイズクンゾの手のひらの上だったってとこか」
何から何まで計算尽く。悪知恵の働くやつだ。悪しくも正しき悪魔の魔人、か。
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