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五章『チーズ編』
第712話 静寂なる時の中で
しおりを挟む闇の渦巻く空間に私(ジゼル)とアイナだけがいる。
「こ、ここは? バーガー様!!」
「慌てない。私たちは結界の中にいる」
ここで冷静さをかいてしまえば敵の思うつぼだ。
あの一瞬で敵は私たちを分断。私は冷静にそう分析。
「ふふふ。うふふふ」
妖艶な笑みを浮かべて『無限』のアリスは現れた。
「お前は。アリス」
「こんなこともあるのね。あの時の子供が・・・・・・今も子供だけれど、私の前に二度も立つなんてね」
状況が飲み込めないアイナも、敵を前にして戦闘に向けて意識をシフトしている。鋭い眼光をアリスに向けている。
これなら戦える。
「あの人のことを知っているんですか?」
「あれは九大天王『無限』のアリス。あの女に故郷を襲われた」
「あれ呼ばわりなんて、品がないのね」
「ここから出して」
「それは出来ないわ。魔王様が勇者を殺すまで、いえ、貴女たちは死ぬまでここにいてもらうわ」
そうか、戦わないでここに閉じこめておくつもりか。
たしかに脱出方法を知らない者の優先順位は低い。バーガーが孤立して。その上アリスまで向こうの戦闘に加われば勝機が無くなる。
「バーガー様が危ない! 早く出ないと!」
「落ち着いて。ここでアリスを倒す」
「で、ですが、バーガー様のところに行かないと!!」
「この魔女をバーガーのところに行かせたら負け。逃がしては行けない」
「う、うぅ」
アイナは迷っている。しかし出られない上に、アリスに行かれてしまえばどうしようも無くなる。決めたようだ。
「貴女を倒して、ここを出ます!!」
「うふふふ。正直なところね。少し味見しておきたかったの」
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