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五章『チーズ編』
第629話 大戦争3
しおりを挟む「何奴」
「待ちなさーい」
親衛隊が抜刀するのを王さまは言葉のみで止める。
「これは九大天王のホネルトンの術でーす。いくらでも出てくるのでーす、話くらい聞いてからでも遅くないのでーす」
「よくご存知で人の王。簡潔に申し上げますとこれから王国全土に骸骨(スケルトン)を召喚したく思います」
「ダメと言ってもやるでーしょ」
「もちろんです。ですが一声かけるのが私のマナーですので」
王さまが立ち上がり、骸骨(スケルトン)の頭を掴む、豆腐を握るように頭蓋骨を粉砕した。
「と、言うわけでーす。すでに魔王軍からの攻撃は始まっていまーす。気を抜かないように」
「はっ!!」
「それにしてもスー様がこれほど近くに居るのに骸骨(スケルトン)を作り出せるとは恐れ入りまーす」
「それはどういうことだ?」
「知らないのでーすか? スー様は死を司る龍、いえ、死そのものなのでーす」
横目でスーを見る。とてもそうは思えない。
「スーが死の化身だったらなんなんだ?」
「この世界で死んだ者の全てはスー様に吸収されているのでーす」
「全て?」
「故人の持っていた知識、魔力、技術、そして魂まで、余すところなくその全てがスー様に蓄積されているでーす」
「マジでか!?」
俺は再びスーを見る。震えながらちょっとドヤ顔している。
「つまりこの世界にはおばけの類はいないということか」
「例外もありまーす、稀に漏れることもありまーす。ね、スー様」
「そうなの」
「じゃああの骸骨(スケルトン)は」
「その例外でーす。ホネルトンはスー様に唯一抗える死の才能を持った魔人なのでーす」
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