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五章『チーズ編』
第625話 交渉決裂
しおりを挟む魔王が何を話すのか、一同は口を閉ざし次の言葉を待つ。やはり宣戦布告だろうか。こういうのは形式が大事になるんだろう。真正面から堂々と攻撃するのは精神的にも気持ちのいいものだろうからな。
「不滅龍スーサイドドラゴンを出せ」
「なの!?」
部屋の奥にいたスーが肩を震わせる。
魔王はその様子を見ているかのように少し待ったあとこう続けた。
「スーを渡せば、最低限の被害のみで支配してやろう」
結局支配すんのかい。王さまはどう出るんだ。
王さまは椅子から立ち上がり部屋の隅でうずくまっているスーに歩み寄る。そしてしゃがみこみ目線を合わせてから優しく話しかけた。
「スー様、行きたいでーすか?」
「嫌なの、行きたくないの」
「そうですか、分かりまーした」
王さまはそれだけ聞くとこほんと咳払いする。そして近くにいる者たちに言った。
「喜ばしいことでーす」
「守るものが増えましーた」
交渉決裂だ!
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