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五章『チーズ編』
第606話 ロストエイジチーズ
しおりを挟む魔王城到着まで6日。夕方。王城。
「最高のものを紹介しまーす」
王さまに具材の件を話したところ潔く承諾してくれた。
「しかし、それには問題がありまーす」
「なんだ?」
俺に解決出来ることならいいんだが。
「チーズって知ってますーか?」
「知ってる!」
即答だ。知っているに決まっている!
「チーズの存在は極秘情報なのによく知ってまーすね」
「ギクリ」
しまった。ハンバーガーの部分が反応してしまったようだ。
「バーガー様は博識さんなんです!」
アイナはエッヘンと胸を張った。王さまはそれで納得したようだ。
「博識さんなら知っててもおかしくないでーす」
「それでチーズとはなんですか?」
「アイナに説明してやってくれないか」
俺の知ってるチーズと違った場合が怖いからな。自然な感じで王さまに説明を擦り付けよう。
「おうふ。チーズは王族が代々守ってきた特別な食材なのでーす」
なんか大きな話になりそうだ。
「どんな食べ物なんですか? あ、そもそも食べ物ですか?」
「いえあ、ハンバーガーの具材ですから、まぁバーガーはよく食えないものも挟んでいるみたいなので仕方ないでーすね」
なんかすんません。
「チーズとは母乳を加工した食品でーす」
「ぼ、母乳ですか!?」
「いえあ? どうしたんですーか? アイナ?」
「いえ・・・・・・続けてください」
「ほわい? まぁいいでしょう。チーズ、精確にはロストエイジチーズと言いますが、それは、聖母龍、シングルマザードラゴンの母乳を使ったものでーす。失われた技術を使い作り出されたオーバーでテクノロジーな固形物とも流動体とも言えぬ粘度が極めて高い黄金の食材なのでーす」
ごくりと唾を飲み込む音がした。もちろんアイナからだ。恥ずかしそうにして顔の温度が上昇しているのを感じる、可愛い。
そして王さまに説明してもらってよかった。俺のいた世界のチーズとはスケールが違った。
「なんだかよく分かりませんがとにかくおいしそうです!」
「そんな高級品を挟ませてくれるのか」
「もちろんでーす。有事ですし、勇者の力を遺憾無く発揮してもらうためなら喜んで譲りましょーう」
「それは助かる」
「しかし、問題が2つ」
ここでか、
「なんだ?」
「一つは製法が途絶えてしまったということ、あるものしか渡せませーん。これはどうしようもありませーん。残るもう一つが非常に厄介なハードルなのでーす」
「勿体ぶらないでくれ」
「ソーリー、チーズを守護しているのがロストテクノロジー満載のガーゴイルなのでーす!」
「なるほど、チーズを得るにはガーゴイルと戦わなければならないのか」
チーズを得るためだ、どんな奴とだって戦ってやる!
「それで場所はどこだ、遠いと困るが」
「この真下でーす」
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