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四章『トマト編』

第552話 礼儀杯15

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 その後はトントン拍子で話が進みました。王国魔道士による手厚い治癒魔法を掛けていただき。身なりを整え、閉会式に出席。その場で王様が宣言して正式に私がマナーの盾の適合者であると発表されてました。

 閉会式も終わり帰ろうとした私を勇者様が呼び止めます。

「や、やあヒマリ! やったじゃないか!」
「ありがとうございます」
「いやぁ! めでたいなぁ! はっはっはっは」

 なんだか様子が変です。無理に元気に振舞っているように見えます。隣にいるエリノアさんがにゃははと笑います。

「バーガーは我こそがマナ(にゃ)ーの盾を持つに相応しいとずっと言っていたんだよ」
「こ、こら! やめろ!」
「でも結果は惨敗。ドレッドヘアのプロレスラーに負けちゃったんだよ」
「まさか大喧嘩祭りの時のあいつが来てるとは思わないだろ!」

 なんてフォローしていいか分からずおろおろしてしまいます。アイナさんがフォローしてくれます。

「バーガー様、マナーの盾を手に入れたとしてもMソードとの併用は難しいですよ!」
「そ、それもそうだな! Mソードを持っていなかったら、きっと俺の手元にきたに違いない、手ないけど」

 終始和やかだった会話でしたが、去り際にジゼルさんが耳打ちします。

「気をつけて」
「え?」

 なんのことか分からず変な声を出してしまいます。

「この街には私の祖母を殺した魔物がいる」
「それって通り魔のことですよね」
「そう。奴は実力者を狙う傾向がある。この王国に必要な要を狙う」
「マナーの盾の所有者も狙われると言うことですね」
「うん。だから気をつけて。王城内が必ずしも安全とは限らない。マナーの盾だって万能じゃない。気を引き締めるべき」
「ジゼルさん、心配してくださってありがとうございます。気をつけます」

 気をつけるのは通り魔の方だ。仇の一人に違いないのだから。

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