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四章『トマト編』
第535話 魔王城の平凡な日常17
しおりを挟むそれから一日。
俺は絶望タワーにある司令室で作業している。ドアがノックされる。
「入れ」
「失礼するわ」
「なんだメアか」
「・・・・・・」
「終わったのか?」
「ええ・・・・・・いまさっき正式に九大天王になったわ」
メアはだるそうに椅子に腰掛ける。そして机に突っ伏した。
「何してんだよ」
「疲れたのよ。精神的に」
「確かにいつもの鬱陶しさがねぇな」
「うるさい」
「それでここに何しに来たんだ。休憩なら他所でしろ、ここは職場だぞ」
「硬い事言わないでよ。疲れてるんだから」
尚更しっかり休めと言ってやろうと思ったがやめた。言っても意味がなさそうだ。
「勝手にしろ」
「そうさせてもらうわ」
メアは水筒を取り出す。そして中心が空洞になっている茎を咥えてそれをストローのように水筒にさして吸う。
一気飲みだ。
飲み終えると消え入りそうな声で呟いた。
「私にできるのかな」
「あん? なにひよってんだよ」
「だって九大天王よ、九、大、天、王!」
「絶者になろうとしてたときはそんなんじゃなかっただろうが」
「私が絶者になりたかったのはアリス様の手助けがしたかったからなのよ。それが親子・・・・・・主従関係が変わることはないとはいえ、アリス様と同格になってしまうなんて・・・・・・」
「親孝行の一つだろ」
知らねぇけど。
「でも」
「でもじゃねぇ。アリス様のあの様子を見ただろ。口角を上げて嬉しそうにしてたじゃねぇか。それともなにか? アリス様ってのは子供の成長を喜べねぇやつなのか?」
「違うわ! アリス様はそんな人じゃない!」
「なら頑張れよ。それがメアのモチベーションになるなら。それを糧にして頑張れよ」
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