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四章『トマト編』

第524話 魔王城の平凡な日常6

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 なぜ今なんだと疑問が出てくる。

「シチュー氏は賢いでござるからな。人が嫌がる最悪のタイミングでこういうことをするでござる」
「知っててやったってことか」
「いかにも。自分の中でルールを決めて。それを破らないようにしてどうやって獲物を狩るか。シチュー氏はよくやるでござるよ」

 メアがシチューを指さす。

「シチュー様の膨らんでいたお腹がどんどん小さくなっていくわ!」
「うむ。消化しているでござるな」
「あんなに早く!? 動いてもないのに!」
「魔獣の消化吸収能力はすごいでござるからな。ああやって食べたものを即座にエネルギーに変換できるでござる」

 腹が完全に凹んだシチューは涎を垂らし始める。
 そして腹の音が聞こえる。

「ぐぎゅるるるるるるるるるぐぼぉこここここここ」
「腹ぺこでござるな」
「ドックフードはもうないわよ!?」
「この城には生きた獲物が沢山いるでござる。それを狙うーー」

 直立していたブラギリオンの姿が一瞬で蹴りを終えた姿に変わっていた。シチューが消えて城壁が大きな音を立てて崩れる。

「いま何が起こったの!?」
「シチュー氏がメアリー氏を殺そうとしたので軽く蹴っただけでござるよ」
「どっちも見えなかったわよ・・・・・・」
「動体視力が足りないでござるな。マジな話だと時間操作系の技術が必要でござるが」

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