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四章『トマト編』

第420話  修行11

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 俺はウィルの短剣を構えクロスケに跳ね寄る。
 クロスケはいつものようにポケットに手を突っ込んでギラギラと笑っている。

 殺すつもりで、か。
 もちろん昨日まででクロスケの強さはわかっている。手加減をするつもりはない。

 俺はジグザグに跳ねて狙いを定めにくくする。サッカーのフェイントみたいなものだ。

 そんな俺の脇をアイナの矢が通り抜ける。
 クロスケは、ひらりひらりとそれを難なく回避する。

「だから見えてる弓兵は俺には当たらねぇって言ってんだろ、よっと!」

 クロスケは一本の矢を叩き折る。その矢にはジゼルから貰った爆裂魔法の魔法陣が描かれた札が巻いてある。

 ピンポイントで折ったということは「見えている」ということだ。中々の動体視力だ。俺に元の体があれば・・・・・・。

 クロスケは爆弾矢を後ろに放り投げる。

 魔法陣の魔法は魔法陣がちゃんとしていないと発動しない。魔法が発動する前にああやって邪魔されれば不発に終わる。

 その間に俺はクロスケの足元まで移動した。
 まずはこのウィルの短剣でーー

「バッガアアーーッ!!」
「バーガー様!!」

 し、しまった!!

 俺は今・・・。空中にいる!!

 空中で激しく回転している俺は、なんとか下にいるクロスケに視線を合わせる。

 クロスケは足を真上に振り上げている。そう俺はサッカーボールのように蹴りあげられたのだ!

「ほう、見えているようだが、体が反応できてねぇぞ。カカカ。敵の懐で呑気にしてンじゃねぇよ」

 俺は虚脱感に襲われる。ヒールが、具材がバラバラになってしまっている! 俺は急いで空気から魔力を得て落下に備える。

「はあぁ!!」

 俺を庇うようにアイナが距離を詰める。
 その間も三度矢を射る。クロスケは狙われた部位を僅かに動かして回避する。

 アイナは細剣を抜き払い、鋭い突きを繰り出す。
 クロスケは両手をポケットから出す。

 アイナの突きをギリギリでかわし、腕を掴みんで無造作に背後に放り投げる。

「突風(ブラスト)!」

 アイナは悲鳴一つ上げずに、空中でクロスケに向けて魔法を放つ。

 クロスケは微動だにせずに体の表面に魔力を集中させて突風(ブラスト)を防ぐ。

 そして落ちてきた無防備な俺をアイナの方に蹴る。具材もすべてだ。綺麗に具材もバンズも合わさるように正確な連続蹴りを食らった。

 アイナは俺を空中でキャッチする。そして着地して体勢を立て直そうとした時。

 クロスケの鋭い前蹴りがアイナと俺の目の前で寸止めされていた。

「1回死亡。カカカ。」

 アイナは苦笑いしている、頬には冷や汗が垂れる。
 強すぎる・・・・・・。

「元の位置に戻れ。反省してやり直せ」

 これが3時間みっちり続いた。


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